「ホメオパシーの効果を実証した」とする研究が査読を通過 疑似科学から脱出なるか?

biology 2018/10/11
Credit: Burger/Phanie/Science Photo Library
Point
・マウスに対するホメオパシーの効果を実証した研究が査読を通過する
・研究では、植物の毒をマウスの体内に投与することでその毒の症状が緩和された
・研究には数値などにおいていくつかのエラーが指摘されており、その信憑性が疑われている

これまで「疑似科学」として疑問視されてきたホメオパシー」による治療についての新たな研究が、実際にマウスにおいて効果が確認されたとして大きな話題となっています。

Ultra-diluted Toxicodendron pubescens attenuates pro-inflammatory cytokines and ROS- mediated neuropathic pain in rats.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30202036?dopt=Abstract

ホメオパシーとは、「症状を引き起こすものは症状を取り去る」といった論理に基づき、病気の原因とされる成分を限界まで希釈して体内に取り入れ続けるといったもの。そうすることで、その成分に関連する疾患が徐々に緩和されていくというのです。

今回の最新の研究は、1988年のホメオパシーに関する研究に対する証拠を提示しており、それが査読を通ったために注目を集めています。

研究では、毒が含まれる植物からの抽出物が、その毒によるマウスの炎症や痛みを緩和させることに成功。しかし、この結果に疑問の声を投げかける科学者も存在しています。イタリアの研究者らは、この研究がたった「8匹」のマウスによって実施されたことや、痛みの計測方法が間接的であるといった主張をしており、この結果を人間について安易に当てはめることはできないとしています。

また、研究を分析した生物学者のエンリコ・ブッチ氏は、研究における数値などにいくつかのエラーを発見。彼は、毒を希釈した倍率の数字に矛盾があったと主張しています。

Credit: Enrico Bucci / 研究にミスを発見したエンリコ・ブッチ氏

これに対し研究チームは、エラーは誤植によるものだとして反論しており、これにより何ら結論に対する影響はないとのこと。また、彼らはこの研究の意義について、ホメオパシーを「批判」するものでも「支持」するためのものでもなく、単に薬物療法としての効果を「評価」するためのものであるとしています。

しかしながらブッチ氏は、同じ研究者の過去の研究にも同様のエラーを発見しています。査読をした Scientific Reports の編集者は、現在両研究について調査中であるとのこと。

 

どうやらこの一件では、ホメオパシーの効果よりも「研究の信憑性」のほうが話題になっている様子。科学に携わる者には、常に「疑う姿勢」が求められます。

 

うっかり騙された10の疑似科学「磁気治療」

 

via: nature / translated & text by なかしー

 

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