もう悪いことできない…? 遠い親戚のDNAだけで犯人を特定できる可能性のある新しいDNA鑑定

biology 2018/10/13
Photo credit: NASA’s Marshall Space Flight Center on VisualHunt.com / CC BY-NC
Point
・最新のDNA鑑定技術のおかげで、40年も昔の凶悪犯罪の犯人が逮捕された
・その方法は、公のDNAデータベースから、部分一致するデータを見つけることで、犯人の血縁者関係者を割り出すというもの
・新たな2つの発見で、この方法が更に強力なものになった

40年近く未解決のままであった、アメリカのゴールデン・ステート・キラー連続殺人事件。しかし今年4月頃、ようやく犯人が逮捕されました。その逮捕のきっかけとなったのが、最新の「DNA鑑定」技術です。犯罪者データベース内のDNAサンプルには一致しなかったものの、公共のDNAデータベースの中に、10人から15人の血縁者候補が上がりました。本人のDNAが無くとも、その血縁者のDNAデータによって容疑者リストの中の犯人を絞り込むことができたのです。

この新しいDNA鑑定法は「家族性DNAテスト」と呼ばれており、少なくとも19人の凶悪事件の犯人がこの方法によって発見されています。そして今回、このDNAテストをさらに強力にする発見が2つの主要な科学雑誌に掲載されました。

“Science”で発表された論文では、これまでの方法を更に広範囲に適用することで、比較的少ないデータサンプルからほぼすべての人口をカバーできるという方法が掲載されています。もう一つは“Cell”で発表された論文で、不完全なDNAサンプルから、従来のものより広いゲノムの青写真を作り上げることで推測するという方法です。この2つの方法を組み合わせることで、現存するサンプルから、誰であろうと識別できる強力なDNA捜査ツールが出来上がります

Photo on Visualhunt.com

旧来のDNA鑑定は、現場で見つかったDNAサンプルと、容疑者のDNAサンプルを直接比較することで本人を特定します。この方法の欠点は、容疑者のDNAサンプルが無い場合全く役に立たないことです。また、容疑者が未知の場合には、かつて犯罪を犯した人たちのデータベースに完全一致するものがなければお手上げです。しかし、家族性DNAテストの場合、公にされたDNAデータセットの中から部分一致する兄弟や親を探すことで、血縁関係から犯人に至る道筋が得られます。もちろん、それだけで完全に犯人を割り出すことは出来ませんが、重要な手がかりとして利用できるでしょう。

“Science”に掲載された研究は、ターゲットとなる人口をカバーするために必要なデータ数を見積もる目的で行われました。128万人のDNAデータを使って研究した結果、対象となる人物の三従兄弟(8親等の傍系血族)以内に絞れる可能性は60%。この結果から、研究者は、対象を8親等にまで絞るには、調べたい集団の人口の内、たった2%のDNAデータセットがあれば十分であることを突き止めました

もう一つの研究グループは、技術の適応範囲を広げました。DNA検査の受診者から集められた、ゲノムの範囲と、執行機関が集める範囲は異なっています。したがって、単純に比較することが難しいという問題がありました。しかし、スタンフォード大学を中心とする研究者たちは、利用できるゲノム範囲が重なっていなくても結果を比較できる方法を開発。異なる遺伝子暗号間にある既存の相関関係を適用しました。この方法はまだ完璧ではありませんが、データの活用においての柔軟性を増すことができます。

 

遺伝子検査が一般的になったことで、より簡単に犯人を絞り込める可能性が出てきました。少し監視社会の前触れのような気もしますが、これによって凶悪犯罪の検挙率が上がり、犯罪自体が減ることを祈りましょう。

 

「サイコパス」や「連続殺人犯」はどんな職に就いているのか

 

via: The Verge/ translated & text by SENPAI

 

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