昔、地球は紫色だった? 光合成の起源に迫る研究

space 2018/10/17
Credit: phoneky
Point
・光合成には、葉緑体によって行われるものの他に、レチナールという紫色の色素で行われるものがある
・レチナールを含むバクテリオロドプシンと細胞膜で原始的な細胞を作った結果、細胞内外で電気勾配が生み出される
・紫色の光合成生物が、葉緑体を使うものに先立って進化して広まっていた可能性

地球上の初期の生命は、レチナールと呼ばれる紫色の色素を使って日光からエネルギーを得ていた可能性を示す研究が発表されました。

レチナールは、葉緑素に先立っていた光合成を行っていたと考えられる色素です。もし、他の惑星でレチナールが進化しているとすれば、緑色の光が吸収されるという明確な生命痕跡を発している可能性があります。メリーランド大学などのチームが行ったこの研究は、10月11日付で“Arxiv”に公開され、“International Journal of Astrobiology”でも掲載されました。

Early evolution of purple retinal pigments on Earth and implications for exoplanet biosignatures
https://arxiv.org/abs/1810.05150

地球の大気はいつも豊富な酸素を含んでいたわけではありません。地球の歴史上最初の20億年は、大気には二酸化炭素とメタンがあふれていました。しかし、24億年前の大酸化イベント(GOE)で、大気中に酸素が劇的に上昇。これまで、その原因となったのは光合成のできる「藍藻」が主な原因だと考えられていました。

酸素は光合成によって二酸化炭素から変換されます。そして通常、光合成には緑の色素である葉緑素が必要です。GOEは、葉緑素を含む藍藻などの光合成生物の存在によって発生したと考えられています。

しかし、同大学の分子生物学教授シラディチャ・ダスサルマ氏らによると、レチナールは葉緑素に先立って現れ、2つは前後して進化したという考えを推し進めています。レチナールと葉緑素は、吸収する光が重ならないので相補的に働くことができ、レチナールを利用した光合成代謝は、今でも地球上にあふれています。

ただし、葉緑素とレチナールは吸収する波長のピークが異なります。葉緑素は465nmと665nmにピークがあるため、その中間の光を反射して緑に見えます。一方、レチナールを含むバクテリオロドプシンは568nmで、赤い光や青い光を反射するため紫に見えます。そして日光のピークは550nmなので、レチナールの方が多くのエネルギーを利用できるのです。

以上のことから、ダスサルマ氏らは、レチナールのほうが先に進化したのではないかと考えています。日光を代謝エネルギーに変える効率の高い葉緑素が進化したのは、その後だった可能性があるのです。

Credit: aoyici

今回の研究の実験では、バクテリオロドプシンを使われました。バクテリオロドプシンと液胞膜を組合わせて、原始細胞と同等のものを作り、光を当てたのです。すると、細胞内外に電気勾配ができ、エネルギーが効率的に蓄えられました。つまり、進化の初期段階で、細胞を生み出すという発明が起こり、エネルギーを蓄積することが可能になったと理解できます。

この発見は地球外生命体の探索にも使えます。葉緑体を持つ植物は赤い光を吸収し、赤外線は反射します。そのため、吸光度の赤い光に相当する波長に急激な減少が見られます。それを「レッドエッジ」といいますが、系外惑星での生命存在を示す指標になると考えられています。同様なことがレチナールをエネルギー合成に使う生命でも言えるはずです。かつて、地球は紫色の生物で覆われた世界であった可能性があります。系外惑星には、この時期の地球と同じものもあるはずです。緑の光の波長の減少「グリーンエッジ」も生命指標として使えるものと考えられます。

 

紫色のレチナールを含むタンパク質と細胞膜を組み合わせることで単純な細胞ができ、それによってエネルギーが生み出せることが示されました。酸素のない地球で進化し、栄えた生物は、地球を「緑の惑星」ではなく、「紫の惑星」にしていたのでしょう。宇宙のどこかに、生命にあふれる紫色の惑星があって、発見されるのを待っているのかもしれませんね。

 

99%光を吸収する「闇の惑星」は何色なのか

 

via: Phys.org/ translated & text by SENPAI

 

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