「星間小天体」は銀河全体に生命を広げる可能性を持っている

space 2018/10/19
Credit: STSCL/ESA/NASA
Point
・生命が、宇宙空間を小天体に乗って移動し伝播するという説が「パンスペルミア説」
・太陽系外からやってきた、「オウムアムア」という例から逆算すると、星間天体の数は極めて多い
・銀河系内で生命を生きたまま運べる可能性のある天体の数は1千万個であるという推計

昨年10月、太陽系外からものすごいスピードで飛び込んできた小天体「オウムアムア」。

その正体は彗星であるという説が有力ですが、はっきりとはわかっていません。しかし新たな研究では、この天体の接近によって「遠い星系間を小天体が微生物などを運ぶことで生命圏を広げているという説が現実味を帯びてきた」と主張しています。ハーバード・スミソニアン天体物理センターで行われた研究は“Astronomical Jounal”で発表される予定で、現在は“arXiv”で読むことが出来ます。

Implications of Captured Interstellar Objects for Panspermia and Extraterrestrial Life
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/aae09a/meta

生命が宇宙を介して伝播されるとするこの説は、「パンスペルミア説」として100年前から知られています。天文学者の中には、「地球上の生命は太陽系内の他の惑星からデブリに乗って広まった微生物によって誕生した」と推測する天文学者もいます。しかし、その可能性については懐疑的な声もありました。

2003年に惑星科学者が行ったシミュレーションで、地球を飛び出した隕石の3分の1は、木星や土星によって、最終的には太陽系を脱することが示されています。しかし、その過程には何百、何千万年かかるため、最も耐性の高い虫や胞子にとってでさえ、生命を運ぶには真空や宇宙線への暴露が長すぎます。また、他の星系に捕らえられる隕石となると、ほんの僅かです。

しかし、小天体を捕らえる星系が「連星系」であった場合は可能性がぐっと上がります。また、小天体を捕らえやすい星系は、放出もしやすい傾向にあるので、星系間での天体の交換はもっと素速く行われている可能性もあります。さらに、オウムアムアが望遠鏡で観察されたという事実から逆算すると、銀河系の1平方光年あたり1兆個もの星間小天体が存在することになります。ただし、この数を満たすには、各星系から1京個もの天体が放出されなければなりません。

Credit: Skatebiker / ケンタウルス座の2つの一等星

新たな研究では、こういった天体が外の世界に生命を運ぶ確率を計算。アルファ・ケンタウリのような連星系は、オウムアムアサイズの天体を毎年数千個も捕らえますが、私たちの太陽系では一世紀の間にたった1つです。

もし星間天体がオウムアムアほどのスピードで動いているとすると、上記の確率と「星間天体内に存在する生物が死に絶える前に到達する星の数」をかけ合わせれば、100万年以内に銀河系内の他の星系に捕らえられる天体の数は1千万個にも及ぶとのこと。星系間での生命の交換は、意外と頻繁に行われているのかもしれません。

 

今回の研究は、計算の元となっている観察がたった1つの「オウムアムア」だけであるという弱さはあります。しかし今後、同様の星間天体が観測される可能性もあり、そうなれば星系間での生命伝播の可能性の推定値も上がるでしょう。もしかしたら、地球生命の起源も別の星系にあるのかもしれません。

 

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via: Science/ translated & text by SENPAI

 

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