観測史上最も「ゆっくり回転」するパルサーが発見される

space 2018/10/25
Credit: University of Manchester
Point
・LOFAR電波望遠鏡を使って全天調査したところ、最も回転スピードの遅いパルサーを発見
・パルサーの周期は23.5秒であり、一度の放射が200ミリ秒も続く
・回転スピードの遅い中性子星は高齢であり、それでも電磁波を発していたのは驚き

パルサーは、パルス状の電磁波が観測される天体の総称です。その正体は超新星爆発の跡に残った、高速回転する中性子星と考えられています。

マサチューセッツ大学天体物理大学院の博士課程の学生チア・ミン・タン氏と研究チームが、現在までに観測された中で最も回転速度の「遅い」パルサーを発見しました。研究成果は、10月11日に“Astrophysical Journal”で発表されています。

LOFAR Discovery of a 23.5 s Radio Pulsar
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aade88/meta

中性子星は、磁極の方向に電磁波をビーム状に放出します。パルス状に電磁波が観測される理由は、磁場の向きと自転軸の間に傾きがあるため、ビームの向きがくるくる変わり、ビームがちょうど地球を指した時にだけ見えるためです。パルスの周期は非常に安定していて、自転の速度と一致しています。しかし、回転エネルギーを放射エネルギーとして消費するため、年齢とともに回転スピードは遅くなります

Credit: Wikipedia

今まで見つかった中で最も回転スピードの速いパルサーは、1.4ミリ秒周期。一秒に716回という猛烈なスピードです。一方、これまで一番遅かったパルサーは8.5秒周期でした。そして今回新たに見つかったパルサーは、23.5秒周期と、今までの記録を大幅に塗り替えています。また、パルサーとしては珍しく、放射される電波は200ミリ秒も継続するとのこと。十分な明るさもあるので、このパルサーは映像上でも肉眼で確認できるそうです。

観測に用いたのは、オランダにあるLOFARという低周波の電波を捕えることのできる電波干渉計。多くの電波望遠鏡を組み合わせ、1つの巨大な電波望遠鏡として使います。一箇所の観測には1時間が割り当てられており、同種の観測としては最も長いものです。この調査法によって、この驚くべきパルサーを発見できるほどの感度を得ることができたのです。

発見されたパルサーはカシオペア座に位置し、5,200光年の距離にあります。年齢はおよそ1,400万歳と中性子星としては高齢ですが、十分に強い磁場を持っており、研究者はこれほど遅くなったパルサーが未だに電波を生み出せることに驚いているとのこと。

研究者らは今後もLOFARを使って新しいパルサーを見つける予定です。また、今回のパルサーがX線を発しているのかどうかをXMM-Newton宇宙望遠鏡で確認することも計画しています。もしこの超低速のパルサーがX線を発しているとすれば、このパルサーの起源や歴史について重要な洞察が得られるでしょう。

 

銀河系外からの「高速電波バースト(FRB)」が多数発見される

 

via: Phys.org/ translated & text by SENPAI

 

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