融合前の超大質量ブラックホール連星の兆候を多数発見!

space 2018/10/26
Credit: NASA Goddard Space Flight Center
Point
・現在の重力波検出技術では、超大質量ブラックホール連星による重力波は検出できない
・超大質量ブラックホールは上下にジェットを噴出するが、ブラックホールが連星系になるとジェットの向きが周期的に変化することがシミュレーションでわかっている
・最も強力なジェットの電波マップを調べたところ、ジェットの向きの変化が多数見つかり、大質量ブラックホール連星の兆候として示される

イギリスのハートフォードシャー大学などの国際研究チームが、超大質量ブラックホールの融合前に見られる「超大質量ブラックホール連星」が多数存在する証拠を発見しました。この発見は、現在唱えられている、「銀河や大質量ブラックホールが時間とともに融合してさらに巨大な銀河やブラックホールを生み出す」とする宇宙の進化についての理解を確認するものです。研究結果は“Monthly Notices of the Royal Astronomical Society”で掲載されました。

How frequent are close supermassive binary black holes in powerful jet sources?
https://academic.oup.com/mnras/article/482/1/240/5105759

ブラックホールには、超新星爆発でできる小さなものと銀河の中心にある超大質量のものが存在します。そしてブラックホールが融合する前には連星系を作り、互いの軌道を周っています。2015年重力波の観測で、ブラックホールの融合については恒星レベルでは証拠が得られていました。しかし現在の重力波測定技術では、超大質量ブラックホールの連星系を実証することはできません。

今回の研究で同大学のマーティン・クラウス博士らが調べたのは、強力なジェット源の電波マップです。その結果、超大質量ブラックホールがお互いに近づいて軌道を周る際に出現する兆候を発見することに成功しました。

超大質量ブラックホールは強力なジェットを噴出します。超大質量ブラックホールが連星系になると、銀河の中心から放出されるジェットの向きは周期的に変化しますが、それは互いの重力の潮汐力で自転軸がぶれて、「歳差運動」をするからです。研究者は、ジェットの向きを調べるとともに、銀河の上下にできる電波ローブの一つと比較した際のジェットの方向の変化も調査。この調査によって、超大質量ブラックホールが連星系になっているかが判明したのです。

クラウス博士は、「私たちは、長い間コンピューターシミュレーションを使って、状態が変わった際のジェットについて研究してきました。今回初めて、最も強力な電波源の高解像度マップにおいて系統的な比較を行いましたが、強力な電波源の4分の3においてジェットが歳差運動していることを示すサインを発見して驚いています」と述べています。

つまり、最も強力な電波を発している天体の4分の3が、大質量ブラックホールの連星系だったわけです。

最も強力なジェットがブラックホール連星と関係していたという事実は、銀河における星の形成過程に重大な変化をもたらすかもしれません。星は、冷たいガスが集まることで作られます。ジェットはガスを温めるため星の形成を妨げますが、ジェットが一方向に固定されている場合は、ガスが暖められる範囲は限定されます。しかし、連星系のようにジェットの方向が周期的に変化すると、広い範囲のガスが暖められるため星の形成が少なくなり、銀河内の星は観測できる程度の数になると考えられるのです。

 

超大質量ブラックホールが連星になり、銀河が融合することは、宇宙規模では意外と日常的に起こっているのかもしれませんね。

 

とてもレアな「中間質量ブラックホール」を発見

 

via: Phys.org/ translated & text by SENPAI

 

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