若者のほうが「事実」と「意見」を見分けられるという研究結果

society 2018/10/26

Point
・年配者は若者よりも事実と意見を見分けることが苦手だと判明
・ラジオやテレビのニュースには、事実と意見が織り交ぜながら視聴者を「刺激」する「偏向性」を持つことが求められる
・年配者は「事実と意見の境界線の侵食」を知らず知らずのうちに経験してきたために、結果的に事実と意見の区別が不得意になった可能性がある

「年の功」も、事実と意見の判別にはあまり役立たないかもしれません。

米シンクタンクのピュー研究所が米国人を対象に行った最近の調査で、50代以上の人は40代以下の人よりも事実と意見を見分けることが苦手であることが明らかになりました。

Younger Americans are better than older Americans at telling factual news statements from opinions
http://www.pewresearch.org/fact-tank/2018/10/23/younger-americans-are-better-than-older-americans-at-telling-factual-news-statements-from-opinions/

調査チームは、参加者らに5つの事実と5つの意見から成る10の文を示し、どれが事実でどれが意見かを答えるよう指示しました。すると、5つの意見のすべてを「意見」だと識別できた参加者の割合は、若者では44パーセントだったのに対し、年配者ではわずか26パーセントでした。また、10〜29歳の参加者の全問正解率は、65歳以上の参加者の2倍以上にも上りました。65歳以上の参加者のうち、5つの事実のすべてを事実として認識できたのはわずか17パーセントに過ぎませんでした。このことは、若者は年配者よりも事実と意見を正しく区別できることを示しています。

特に、政治や移民問題に関連した文を示された時の正答率は個人間で大きなばらつきがありました。また、すべての文において、若者の正答率は年配者のそれを上回りました。

Credit: Pew Research Center

米がジャーナリズムを娯楽に変化させた経緯

アメリカン・プレス・インスティテュートが過去に行った米国人対象の調査では、年配者は若者よりも事実と意見の識別能力に自信を持っていることが示されています。若者は、年配者よりインターネットを使用する機会が多いため、より多くの誤った情報に晒され、その影響を受けるので、識別能力が低いのではないかというのです。

これに対し、今回の調査は、むしろテレビのニュース番組の視聴が、事実と意見を識別する能力を低下させていると訴えています。これは、インターネットが登場する以前にメディア界に現れたラジオや24時間放送のケーブルニュースが、それまでにないような新しいやり方で、事実と意見を巧みに織り交ぜながら情報を伝え始めたことを考慮すれば、驚きではありません。

1987年、レーガン政府は連邦通信委員会がかつて定めた「公正の原則」、つまりテレビやラジオの放送で反対意見を持つ者に対して公平な発言時間を与えるというルールを撤廃しました。これを契機として特定の政治色を示すラジオ番組などが誕生し、司会者の発言が「生産的か?危険でないか?理路整然としているか?正当か?」は重要ではなくなり、司会者の役割は視聴者を「刺激」することのみになりました。公平性や客観性を求める古臭い制約は抜きにして、ジャーナリズムを楽しもうという時代の空気が生まれたのです。日本でも、ワイドショーなどはその典型といえるでしょう。

こうしたラジオ番組を視聴してきた「教育水準が高く、保守的な中年男性」の層こそが、事実と意見を面白おかしく織り交ぜることで視聴者を「刺激」し、チャンネルを変えさせまいとするメディア側の策略に上手くはまったのです。

Credit: thestranger / FOXニュースの報道画面

90年代半ばにFOXニュースなどの24時間放送のケーブルテレビ放送局が立ち上がると、この傾向はさらに加速します。番組には、ニッチ層の心を掴むエンターテイメント性が求められ、このことがメディアの「偏向性」をさらに高めました。FOXニュースはまさに、「偏向性」に少しの事実と意見を織り交ぜることで大成功を収めてきたといえます。

その後インターネットが普及すると、それまでラジオやテレビを視聴していた人たちの多くが、インターネットであらゆる情報を得るようになりました。インターネットは、ラジオやケーブルテレビ以上に多種多様な事実と意見が入り乱れるメディアとして成長してきました。政治色の強いメディアなどがソーシャルメディアを利用して、「超偏向的な」見方を世の中へ発信し、特定の政党への投票を促すことなどは日常茶飯事です。

一方で、若者が事実と意見を上手く識別できるのは、特定の政党を強く支持する若者が少ないことも要因の一つかもしれませんが、早くからインターネットを使用してきたために情報を事実と意見に分類することに慣れていることが大きな要因でしょう。

 

情報に触れる際は、常に事実か意見かを常に意識してその情報を扱いたいものですね。

 

via: theatlantic / translated & text by まりえってぃ

 

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