「ニオイ」は人の行動を変える。脳内で「嗅覚」と「運動中枢」がリンクする神経回路が見つかる

brain 2018/10/31

Point
・サメが血のニオイに誘われるように、人間を含むすべての動物が「嗅覚」からの情報によって行動を変化させる
・ヤツメウナギにおける新たな研究により、脳内で「嗅覚」と「運動中枢」がリンクする新たな神経回路が発見される
・このような「ニオイ」と「行動」を関連付ける研究は比較的新しく、これからさらなる発展が期待される

優秀なストライカーについて「ゴールへの嗅覚が鋭い」と表現することがあるように、五感の中でも最も本能的であるとされるのが「嗅覚」です。太古の時代から、人間を含むすべての動物がこの嗅覚からの情報に基づいて行動を変化させていることが知られています。

しかし、そうした「ニオイ」が「行動」を引き起こす際の神経回路やメカニズムについて分かっていることは少なく、その解明を目指す研究は始まったばかりです。そして今回、これに関して大きな発見が発表されました。

カナダのモントリオール大学とウィンザー大学の研究者らが、ヤツメウナギにおける研究の中で、「ニオイ」が「行動」を調整する働きには、抑制性の神経伝達物質として働く “GABA” を嗅覚情報処理に関わる「嗅球」へと放出する抑制回路が強く関わっていると明らかになりました。

GABAergic modulation of olfactomotor transmission in lampreys
https://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.2005512

この調整メカニズムの研究により、研究者らは脳内で「嗅覚」と「運動中枢」がリンクする新たな神経回路を発見。研究を率いた Gheylen Daghfous 教授は、「この研究は脊椎動物における嗅覚システムの進化に新たな光を当てるものです」と語っています。

彼はさらに、「イヌが獲物の居場所をニオイで探り、サメが血のニオイに誘われるように、動物が『ニオイ』によって行動を変化させていることはよく知られていますが、ニオイが行動に結びつくまでの過程の研究は始まったばかりです」と述べており、この分野の研究のさらなる発展に期待しています。

 

特定の記憶や感情が呼び起こされたりと、「ニオイ」には不思議な力があります。懐かしい香りを嗅いだときに胸に去来する感情は、言葉では言い表すことができません。ふだん意識することが少なく軽視しがちな五感の一つ「嗅覚」には、本当は驚くべきパワーが隠されているのかもしれません。

 

嗅覚が鋭い人ほど方向感覚が優れていると判明 

 

via: eurekalert / translated & text by なかしー

 

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