60年以上謎だった地球軌道を回る幽霊のような「塵の雲」がついに特定される

space 2018/10/31
Credit: Sliz-Balogh
Point
・「コーディレフスキー雲」は地球と月の重力が平衡する軌道(ラグランジュ点)に捕らわれた惑星間塵の雲のことで、存在は疑問視されていた
・200万の粒子によるシミュレーションでラグランジュ点に雲が捕らわれ、その形が変化することを確認
・特別な方法で偏光を撮影することで、コーディレフスキー雲の撮影に成功

数十年間、存在が議論されていた地球の軌道上を回る「奇妙な雲」があります。これはコーディレフスキー雲と呼ばれており、地球と月の重力が釣り合う領域に捕らえられた塵の集団で、軌道上2箇所に存在するといわれています。

最初にその仮説が提唱されたのは1950年代でしたが、その証拠は微々たるものでした。しかし今回、ハンガリーのエトヴェシュ・ローランド大学による新たな研究によって、ついにその実在が証明されました。研究は、“Monthly Notices of the Royal Astronomical Society”で発表されています。

宇宙において、コーディレフスキー雲はラグランジュ点と呼ばれる位置に存在するとされています。ラグランジュ点とは、2つの大きな天体が及ぼす重力が平衡する影響で、小さな天体が捕らわれてしまうポイントのこと。地球と月の間や、太陽と地球の間に生まれ、全部で5箇所あることが知られています。コーディレフスキー雲が存在するとされているのは、ラグランジュ点の中でも“L4”と“L5”と呼ばれるポイント。これは月と地球からの距離が同一になる点で、トロヤ点とも呼ばれています。

地球と月の周りのラグランジュ点

理論的には、小さな天体はラグランジュ点に捕らわれると、太陽や太陽風などのより大きな天体や力の影響でも受けない限り、永久にそこにとどまります。最初にコーディレフスキー雲の証拠を提示したのは、ポーランドの天文学者カジミェシュ・コルディレフスキですが、40万キロも彼方にあるその雲の写真はあまりに微かで、確認のための観測は難しいものでした。

Credit: G. Horvath

研究チームはまず、200万の粒子によるシミュレーションによって、“L5”に惑星間塵が捕らわれることを確認しました。しかし、それは条件によっては、数日後には逃れることのできる一時的なもの。粒子による雲は、絶えず渦を巻いたり脈動したりしているのです。

研究の次の段階では、この現象を写真に収める試みを行いました。最適な条件がそろうまで粘り強く何ヶ月も待った結果、コーディレフスキー雲を“L5”で撮影することに成功しました。この撮影に使用されたのは、極めて薄い粒子が検出可能な連続画像偏光分析法“sequential imaging polarimetry”という方法です。塵が発する放射は日光の反射なので、最適な放射に感度を合わせた検出器で、地上からの観測や撮影もできます。また、理論上は“L4”でもコーディレフスキー雲は観測できるはずですが、“L4”ではまだ確認されていないとのこと。

 

ラグランジュ点は、特に『機動戦士ガンダム』好きにはスペースコロニーを置くポイントとして有名です。安定して軌道に留めることができるということが理由の一つですが、現実的には、探査衛星や宇宙望遠鏡の設置や、その計画が進んでいるポイントとなっています。

 

重力波によって宇宙の膨張率を高精度で特定できる可能性 ダークエネルギー解明に光

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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