お疲れ様。惑星探査機「ケプラー」、長年の務めを終えついに引退

space 2018/10/31
Credits: NASA/Wendy Stenzel/Daniel Rutter
Point
・惑星探査機「ケプラー」が、燃料が底を尽きたためについに引退した
・ケプラーは、太陽系の外に2,600個以上の惑星を発見し、ハビタブルゾーンに地球に似た惑星が存在することを示した
・ケプラーが集めた観測データは、これから数十年をかけて、広範な宇宙研究に活用される

10月30日、NASAが誇る惑星探査機「ケプラー」が、9年間にわたる「惑星ハンター」としての役目を終え、永遠の眠りにつきました

ケプラーは、従来発見が困難だと思われてきた太陽系の外にある惑星を2,600個以上も発見し、惑星は太陽系以外にも宇宙のいたるところに存在することを人類に教えてくれました。ケプラー計画の一員である宇宙物理学者ジェシー・ドットソン氏は、「ケプラーは私たちの要求以上の働きをした」として、この探査機の偉大な業績を称えています。

発表によると、ケプラーは9月に方向調整を安定的に行えなくなったことで、燃料が底を尽きかけていることが明らかになりました。観測活動は打ち切られ、燃料消費を最小に抑えるため、ケプラーは「休止モード」へ。その後、無事に最後の観測データが転送され、地球から遠く離れた安全な軌道上でスイッチが停止されたとのことです。

1980年代に構想が始まり、2009年に打ち上げられたケプラー。2011年には、液体の水が存在する可能性がある「ハビタブルゾーン」に初めての惑星「ケプラー22b」を観測し、その後は2〜5割の恒星に地球に似た環境の惑星が存在することを示しました。2013年には一部の装置が故障するトラブルも発生し、一時は引退の懸念もありましたが、運用方法を調整して観測を続け、53万個以上の恒星の周囲の惑星の有無を調査しました。2017年に、AIがケプラーの観測データをもとに太陽と同じ数の8つの惑星を持つ恒星「ケプラー90i」の存在を発見したことは、大きな話題を呼びました。

Credits: NASA/Ames Research Center/Wendy Stenzel / 太陽系とケプラー90系の惑星の大きさと軌道の比較

ケプラーが集めた観測データは、天の川銀河の歴史、超新星の誕生段階、宇宙の膨張速度の調査など、広範な宇宙研究への活用が期待されています。膨大なデータに埋もれた「埋蔵品」をもとに、科学者たちはこれから数十年かけて新たな発見を行うことになるでしょう。

ケプラーが登場する前は、太陽系の外には数百個程度の惑星しか見つかっておらず、そのほとんどが恒星の近辺に存在する巨大ガス惑星でした。ケプラーは、まさに惑星探査の新しい道を切り開いた「開拓者」だったのです。

NASA科学ミッション部門のトーマス・ズルブカン氏は、「NASAの初めての惑星探査ミッションにおいて、ケプラーは私たちの期待を大きく超え、太陽系の内と外における生命の探索と調査の道を切り開いてきました。ケプラーは、どれほどの数の惑星が存在するかを私たちに示してくれただけではなく、新しく、かつ頑強なフィールドを活気づけ、宇宙科学の世界に旋風を巻き起こしました。ケプラーがもたらした発見は、宇宙に関する私たちの理解に新しい光を投げ掛け、謎や神秘に溢れた星の世界を明るく照らしました」と、定年を迎えた上司へ向けたはなむけの言葉さながらの賛辞を、ケプラーへ送っています。

こうして無事に「定年」を迎えることができたケプラーは、これからも太陽の周りを回り続けます。少し切ない気もしますが、立派に大役を務め上げたケプラーに、「永年勤続表彰」を贈りたくなりますね。

ケプラーの「後任」は、今年4月に打ち上げられた宇宙望遠鏡「TESS(テス)」が引き継ぎます。先輩に負けない、さらなる活躍を期待しましょう。

 

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via: sciencemag, nasa/ transnalted & text by まりえってぃ

 

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