美しい…超大質量ブラックホールの近くを「高速で回る物質」の観測に成功

space 2018/11/04
Credit: ESO/Gravity Consortium/L. Calçada
Point
・天の川銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在し、その位置はいて座Aであると考えられている
・このブラックホールをフライバイしている天体を観測中に、偶然赤外線フレアを3回観測する
・フレアの発信源は、ブラックホールの降着円盤の高温ガスであると考えられる

天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール。その事象の地平線の外の軌道を回る物質の詳細な観測に初めて成功しました。

マックスプランク研究所やケルン大学などを含む国際チームは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の感度の高いGRAVITYという観測装置を使って、天の川銀河の中心に超大質量ブラックホールがあるという長年の推測を支持するさらなる証拠を発見。内側に入ると戻ってこれないブラックホールの事象の地平線の周りを、光速の30%という猛スピードで回るガスの塊が新たに観測されました。この発見は、ESOのニュースリリースで発表されています。

 

私たちの太陽系を含む天の川銀河の中心には、太陽の質量の400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在するとされています。その位置は、いて座の領域にあるいて座Aです。

ブラックホールからは光さえ逃れることができないため、直接は観測できません。巨大な重力の影響を受けている周りの星の動きや、物質が飛び込んだ際のエネルギーで放射されるフレアやジェットなどで間接的に観測するしかないのです。

Credit: ESO/Gravity Consortium/L. Calçada / 超大質量ブラックホールの地平線の周りを光速の30%で回転するガスの塊

研究に使われた観測装置GRAVITYは、ESOの4台の望遠鏡を組み合わせて巨大な望遠鏡とする超大型望遠鏡VLTの能力を使っています。今年のはじめ、GRAVITYとSINFONIという他の装置を使って、S2という恒星が、いて座Aの強力な重力場をフライバイする様子が観察されました。その際に、いて座Aから強力な赤外線放射が同時に観測されたのです。

ブラックホールの周りには、ガスや塵が集まって降着円盤を作ります。降着円盤の物質はブラックホールに近づくほどスピードが増し、さらに近づくと、粘性や摩擦によってそのスピードが熱に変換され高温になります。物質が事象の地平線の内側に落ち込むことなく回れる、最も内側の軌道のことを“innermost stable orbit”と言いますが、今回の研究では、この軌道からのフレアを観測することに成功。放射はブラックホールに近づきすぎた高いエネルギーを持った電子からのもので、理論的な予測ともバッチリあっていたわけです。

 

今回の発見で、天の川銀河の中心に超大質量ブラックホールが存在するという説の正しさが再確認されました。まだまだ謎の多い超大質量ブラックホールですが、一歩づつその正体が明らかになっていきますね。

 

融合前の超大質量ブラックホール連星の兆候を多数発見!

 

via: Science Daily/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE