大型ハドロン衝突型加速器で「未知の素粒子」を発見か? 現在調査中

quantum 2018/11/01
CC0 Creative Commons
Point
・大型ハドロン衝突加速器のCMS検出器によるデータを解析したところ、新規の素粒子を示していた
・粒子が本物だとすると、質量は28GeVで炭素原子の2倍という重たいもので、標準模型に当てはまらない
・現在確認のための解析が行われており、近い将来には結論が出る予定

欧州原子核研究機構(CERN)の研究者らが、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)における実験で、未発見の粒子が現れた可能性があるとして現在調査を進めています。

奇妙な現象が起きたのは、小型ミューオンソレノイド(CMS)と呼ばれる多目的に利用できる検出器です。そのCMSのデータを解析したところ、なんと炭素の2倍以上の質量を持つ未知の粒子の存在が示されていました

しかし現状では、この未知の粒子に適した理論が存在しないため、物理学者たちは興奮すると同時に混乱しているとのこと。彼らは現在、この新しいモデルを必死に導き出そうとしています。

Credit: Wikipedia

LHCは陽子を高速近くまで加速して衝突させることで、様々な素粒子を生み出します。陽子が衝突すると、衝突時のエネルギーはアインシュタインの公式E=mc2に従い、質量に変わり素粒子が生まれます。衝突によって生み出された多くの素粒子は不安定なので、即座に崩壊し、より安定した粒子である「光子」や「電子」に変わります。そして、これらの安定した粒子の過剰が見られると、データにはっきりと現れるため、物理学者たちは新たな粒子が見つかったと考えます。例えば、ヒッグス粒子が見つかったのは、衝突で粒子が生まれた際に普通では見られない多量の光子が検出されたからです。

2回の別々の解析から、CMSのチームは、ミューオンが生み出されたことを示すデータを得ました。もしこのデータが事実であれば、この新しい粒子は質量は28GeVで、ヒッグス粒子の4分の1ほどの質量ということになります。研究の本来の目的は、ヒッグス粒子の質量の軽い「いとこ」に当たる素粒子を探すことだったので、この発見は思いがけないものです。

今回の発見を確認あるいは否定するには、さらに1年の解析が必要となります。別の検出器であるATLASのデータでも同様の解析を行って、確認を取ることは発見を公のものとするためには必須です。もし、ATLASでも新たな粒子を示す証拠が得られれば、エラーではなく実際に新たな粒子が形成さていたということになります。しかし、すでに独立した解析において、同様の発見はすでに確認されています。元CMSのチームメンバーで、新たな粒子のことを知っていた科学者が、ALEPHによって集められた古いデータを使って解析を行い、似たような30GeVの粒子を発見しているのです。

 

この新たな素粒子が本物であるのかどうかは、今の所わかりませんが、可能性はあります。この粒子は現在の標準模型には当てはまらないため、もし存在するとすれば標準模型を再構築する必要に迫られるでしょう。いずれにせよ、そう遠くない未来に結論は出されるはずです。続報に期待しましょう。

 

否定されたと思われた余剰次元、「小さなスケールではあり得る」

 

via: The Guardian/ translated & text by SENPAI

 

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