眼の傷を治す「絆創膏コンタクトレンズ」が登場

technology 2018/11/05
Credit: julief514/iStock
Point
・眼の傷を治す絆創膏のような働きをする新しいコンタクトレンズが開発された
・「絆創膏レンズ」に定着した輪部間葉系間質細胞(L-MSC)が、眼の表面の修復を促す一連の傷修復因子を放出する
・「絆創膏レンズ」は、従来の治療法よりも簡単、スピーディー、安価、効果的である

コンタクトレンズを使用する方にとって、「長時間の着用を避け、正しい方法で洗浄する」といった日頃のケアは時に億劫なもの。私たちは「コンタクトレンズは傷の原因になる」と思い込んでいますが、実は、汚れておらず乾燥しない状態に保つことができれば、コンタクトレンズは「傷を治す」働きさえします。

オーストラリアで開発された新しいコンタクトレンズは、なんと眼に入った傷を治す絆創膏のような働きをするのだとか。一体どんな仕組みなのでしょうか。

「絆創膏レンズ」は、角膜移植の際に余ったドナーの角膜を利用して作られます。傷ついた眼の修復を促すのは、レンズに含まれる輪部間葉系間質細胞(L-MSC)です。「傷ついた眼に数時間レンズを装着するだけ」というお手軽さで、通常の手術よりも簡単かつ安価に治療を行うことができます。

開発者の一人であるクイーンズランド工科大学のダミアン・ハーキン教授は、「これまでの研究データをもとに、ドナーの細胞が、眼の表面の修復を促す一連の傷修復因子を放出するのではないかと考えてきました。私たちが開発した治療法は、従来の治療法では効果が出なかった角膜潰瘍や表面欠陥などの慢性疾患で苦しむ患者にとって、救いの手となるでしょう」と語っています。

使用の流れはとてもシンプルです。まず、病院がレンズが必要な時にドナーバンクに発注。ドナーバンクでは、角膜との間に液体を溜めるための強膜レンズにL-MSCが塗布され、定着させるために3時間ほど置きます。完成した「L-MSC付きコンタクトレンズ」はすぐに病院に届けられ、患者の眼に装着されます。

Credit: QUT

現在は、ヒトの胎盤から採取した羊膜を使った治療法が行われることが一般的ですが、供給に時間を要し治療効果にもばらつきがあるという点では「絆創膏レンズ」には及びません。「絆創膏レンズ」は、スピーディーでリーズナブルなだけでなく、効果的な治療法なのです。

これまでにもさまざまなタイプのコンタクトレンズが目の治療に使用されてきましたが、これらの多くには患部を覆って潤すことで自然治癒を手助けする役割しかありませんでした。その意味で、それ自体が傷修復効果を持つ「絆創膏レンズ」は革新的な発明と言えそうです。

開発チームは、数年以内に「絆創膏レンズ」の大規模臨床試験を行い、実用化に向けて動きたいと考えています。

こうした高機能コンタクトレンズは他にも存在します。たとえば、装着するだけで涙から血糖値を測定できるコンタクトレンズは、糖尿病治療への活用が期待されています。また、就寝時を含めた24時間体制で緑内障患者の眼圧測定を行うスマートレンズは、緑内障による失明の危険性の早期回避を可能にします。人の眼が、その人の健康状態を示す情報にあふれていることがわかります。

 

「絆創膏レンズ」は、腐食性の化学薬品、火傷を引き起こす液体、高熱の物質に触れることで生じる眼の怪我に対する初期治療にも利用できます。眼の怪我の応急処置用として、家庭や職場の救急箱に入る日も遠くなさそうです。

 

眼からレーザーを放出できるコンタクトレンズを開発

 

via: sciencealert / translated & text by まりえってぃ

 

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