人の意識は「エネルギーのループ」であるとする説が提唱される

brain 2018/11/06

Point
・人の「意識」を「脳内のエネルギーのフィードバックのループ」と定義する説が提唱される
・そこにおける「意識」はサイケデリックな繰り返しの映像である「ビデオフィードバック」に例えられる
・この説において脳内で処理されているのは「情報」ではなく「エネルギー」である

「意識」とはいったい何なのでしょうか。科学や哲学をもってしても、この問いに対する明確な答えは出ていません。しかし、新たな研究がそのヒントを見出したかもしれません。そこでは、意識を「脳が作り出すエネルギーのフィードバックのループ」であると考える説が提唱されています。

Consciousness as a Physical Process Caused by the Organization of Energy in the Brain

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2018.02091/full

そこでは、「意識」は「ビデオフィードバック」と似たものとしてとらえられています。ビデオフィードバックとは、ビデオにおいて出力された信号をもう一度入力へと入れ直すことで、回路内を信号が無限に循環・暴走する状況を作り出し、サイケデリックな模様などを無作為に生み出したりするものです。

下の動画は、その「ビデオフィードバック」に関するイメージ。不思議な模様のループが10分超続きます。

意識の研究は1990年代から盛んになり、私たちの「脳」と「心」の関係についての理解が進んでいきましたが、「意識」の正体は未だ判然としません。とはいえ、諸説ある「意識」における代表的な説では、それが「脳の情報処理の結果」によって生じるものであるといった主張は一致していました。

しかし、新たな研究はこの見解に懐疑的です。そこでは、脳はデジタルコンピューターとは異なることが主張されています。つまり、ニューロンの中に「情報」は存在しておらず、脳はエネルギーの形を変換させるための繊細な器官であり、処理するのは「情報」ではなく「エネルギー」であるというのです。

人間の脳は、質量で言えば体の2%を占めるに過ぎませんが、そこでは全エネルギーのおよそ20%が消費されています。脳はエネルギーコストが高い器官なのです。そして新たな研究では、脳内におけるエネルギーが自らに回帰するための道の存在が示唆されています。そして、このループこそが私たちが「意識」を経験しているといったことであり、それがビデオフィードバックに例えられているのです。

Credit: Robert Pepperell, 2018

この「人の意識」の根拠を脳内エネルギーの「フィードバック」に求める説は、科学的にも実証されています。ある研究では、研究者らが麻酔にかけられた患者の脳波を測定したところ、脳波のシグナルが複雑であればあるほど、その人物の「意識」が強いことが分かっています。

この研究において研究者は、「意識の強さ」を脳内で処理される「情報の量」によるとしていますが、実際に測定されているのは「エネルギーの流れ」であり、このことから「意識の強さ」は脳内の「情報」ではなくそこに流れる「エネルギー」によって測定できることが分かります。

このように、新たな研究に基づく説によれば、脳の主要な働きは、私たちが生きていくために必要なエネルギーの複雑な流れを「管理すること」になります。いずれにせよ、この研究により「意識」とは何なのかが結論付けられたわけではありません。この先も、私たちの複雑な「意識」を解明するための研究は続いていくでしょう。

 

人間の脳、実は量子コンピューターだった? 科学者が本気で実験を開始

 

via: theconversation / translated & text by なかしー

 

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