天の川銀河で「最古の星」が見つかる。銀河の歴史をひも解く鍵?

space 2018/11/07
Photo credit: Sewon_Kim on Visualhunt.com / CC BY-NC-ND
Point
・宇宙の初期には、質量の軽い水素やヘリウムが主で、質量の重たい金属はまだ形成されていなかった
・天の川銀河の銀河円盤に、小さくて古く、重い物質の割合が最も低い恒星が発見される
・天の川銀河の形成時期がもっと古く、宇宙初期にも質量の小さな天体が存在した可能性

天の川銀河のディスク内に、今まで発見された中で最も古いと思われる135億歳の恒星を発見しました。宇宙が誕生したのが138億年前といわれているので、もしかすると宇宙第一世代の星の可能性があります。

この小さな恒星によって、ビッグバン後の若い宇宙や、天の川銀河の年齢、歴史が紐解かれるかもしれません。発見はホプキンス大学によって行われ、11月5日付で“The Astrophysical Journal”に発表されています。

An Ultra Metal-poor Star Near the Hydrogen-burning Limit
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aadd97

ビッグバン理論では、宇宙は138億年前に生まれたとされています。ビッグバン後の宇宙には重い物質が生まれておらず、ほとんどが水素とヘリウムでできていました。恒星が生まれては死ぬという過程を繰り返すことで、より重たい物質の核融合が起こるようになり、次第に重たい物質が増えていったのです。

星は、質量が高いほど核融合が早く進んで寿命が短くなり、逆に質量の小さな恒星は寿命が長くなります。そのため、初期の宇宙では大質量の巨星が多く生まれ、重たい物質をどんどん生み出したという説があります。私たちの太陽は、何千世代もの巨星によって生み出された物質によってできたと考えられているのです。

今回ハワイのジェミニ天文台により発見された恒星は、古くて、小さく、重い金属を少ししか含んでいません。赤色矮星というカテゴリーに属し、年齢は135億歳です。質量は太陽のたった14%しかありませんが、太陽の寿命100億年に対し、数兆年の寿命があります。さらに、重たい物質の割合が最も低いという記録を更新しました。

Credit: Kevin Schlaufman

このような星は、低金属量星“low metallicity star”と呼ばれています。2MASS J18082002-5104378 Bと名付けられたこの星によって、初期の宇宙にも質量が低く長寿命の星が存在したということが示されました。またこの星が、星の生成が活発で混み合っている銀河円盤に存在したことも意外な事実です。

発見された恒星は、二連星の一部です。対になる恒星はもっと大きい低金属量星で、ヨーロッパ南天天文台のVLTによって2014年と2015年に発見されていました。当時、この星はブラックホールや中性子星と対になっているのではないかと考えられていましたが、昨年のジェミニ多重オブジェクト分光器(GMOS)などによる観測で、この星系から来る光を分離し、相対運動を測ることによって、星を重力で引っ張っている小さな星があることが判明したのです。

 

このような古い星が天の川銀河のディスクに存在することから、銀河円盤の形成は、考えられていたよりも30億年早かった可能性があります。また、長寿命であることから、現在のこの星の輝きは、135億年前に形成された当時と変わりがないと考えられます。初期の宇宙がどのようなものだったのか、少しだけ垣間見せてくれているのです。

 

美しい…超大質量ブラックホールの近くを「高速で回る物質」の観測に成功

 

via: Gemini Observatory/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE