ヒーロー映画では「悪役」よりも「ヒーロー」のほうが暴力回数が多いことが判明

culture 2019/01/06
Point
■ヒーロー映画の中では「悪役」よりも「ヒーロー」のほうが暴力をふるう回数が多いことが判明
■暴力行為の多い映画を観るときは、親が子どもと一緒に楽しみながら観るのが良い
■ヒーローたちの行動について親と子どもが積極的に語り合うことで、子どもの批判的思考能力が育まれる

来年の公開が待ち遠しいアメコミ映画の「アベンジャーズ4」しかり、近年はヒーロー映画がとにかくアツく世間を賑わせています。

好意的なメッセージがあると思われがちなヒーロー映画ですが、こと「暴力」に関する限りでは、実は子どもたちにとても悪い影響を与えているかもしれません。

というのも、米国小児学会 (AAP) によって発表された研究により、映画の中の「ヒーロー」は平均して「悪役」よりも暴力をふるう回数が多かったことが分かったのです。

研究チームは、2015年と2016年に公開された10作品のヒーロー映画を中心に分析を行いました。その中で、まず研究者たちは、メインキャラクターをヒーローか悪役のいずれかに分類して、映画内で描かれる様々なタイプの暴力行為をカウントしていきました。

すると驚くべきことに、悪役が1時間でおよそ「18回」の暴力行為を行っていたのに対し、ヒーローはそれを上回る「23回」であったことが判明しました。また、男女のキャラクター間における暴力回数も比較してみたところ、男性の暴力行為は1時間におよそ「34回」、女性はおよそ「7回」であり、そこには実に5倍近くもの差が存在していました。

さらに、暴力のタイプについて分類したところ、ヒーローが行うもので最も多いのが「格闘 (1021回) 」、そして「兵器の使用 (659回) 」、「土地の破壊 (199回) 」、「殺人 (168回) 」、「脅しや拷問 (144回) 」と続きました。それに対して、悪役の暴力行為で最も多いのが「兵器の使用 (604回) 」であり、「格闘 (599回) 」、「脅しや拷問 (237回) 」、「土地の破壊 (191回) 」、「殺人 (93回) 」と続いていることが分かりました。

これを受けて、研究を率いたロバート・オリンピア博士は、子どもや若者がスーパーヒーローの体を張った行動や暴力的な振る舞いに大きな影響を受けることを指摘しています。またオリンピア博士は、「子どものメンタルヘルスの専門家たちは、この手のヒーロー映画で描かれる暴力内容を親によく知ってもらい、子どもたちがその行為を真似しようとしたときに起こりうる潜在的な危険について学んでもらうべきです」と語っています。

さらに、研究を行なったジョン・N・ミュラー氏は「ヒーロー映画が子どもたちに与える悪影響を緩和するためには、親が彼らと一緒に映画を鑑賞すること、そしてヒーローたちが何をしているのかを子どもたちに説明してやるのが一番です」と述べています。そして最も大事なのは、「ヒーローの暴力的行為が引き起こした結果についてよく話し合うこと」だとミュラー氏は指摘しています。

暴力的な映画を一緒に観ることに消極的であると、親は子どもに対して、その手のメディアに問題が無いといった「暗黙のメッセージ」を伝えてしまうことになります。すなわち、親が子どもと一緒に映画鑑賞を楽しみ、積極的に内容について話し合うことが、子どものメディア消費において重要な役割を果たすのです。そうすることで、子どもたちの批判的思考力が育まれ、道徳的な価値判断の能力を身につけさせる手助けとなるはずです。

ますますヒーロー映画が増え続けている昨今、仕事で疲れているにも関わらず、子どもに「映画に連れて行って!」とせがまれる方も少なくないでしょう。そんなときはこれを「教育の機会」であるととらえて元気を振り絞り、見終わったときには子どもと一緒に感想をじっくり話し合うことをおすすめします。

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via: eurekalert / translated & text by くらのすけ

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