とりすぎ注意。高塩分の餌を与えたマウスが痴呆になるという研究結果

science_technology 2018/01/19
Credit: Pixabay

マウスに塩分の高い餌を与えると、脳の安静時の血流が減り、その結果痴呆になることを、ワイル・コーネル・メディスンの科学者たちが明らかにしました。

この研究は、Nature Neuroscienceの1月15日号で発表されたもので、高塩分の餌の摂取と、神経血管や認識能力が損なわれることが、腸と脳の結びつきによってリンクしていることを示した最初の研究となります。

Dietary salt promotes neurovascular and cognitive dysfunction through a gut-initiated TH17 response
https://www.nature.com/articles/s41593-017-0059-z

「私たちは、高塩分の餌を与えたマウスが、高血圧にならなかった場合でも痴呆になることを発見しました」と語ったのは、ワイル・コーネル・メディスンでFeil Family Brain and Mind Research Institute(BMRI) とAnne Parrish Tizell Professor of Neurolobyのディレクターであるコスタランティーノ・イアデコラです。「これは驚くべきことです。なぜなら人でも認識への塩分の悪影響は高血圧の結果と考えられていたからです」

Credit: Pixabay

アメリカの成人の90%が、1日の推奨量である2,300mgよりも多くの塩分をとっています。

マウスに通常の塩分量の8から16倍の餌を与えた8週間後、核磁気共鳴画像法(MRI)を使ってマウスを調べました。すると、脳の学習や記憶を司る2つの領域、大脳皮質と海馬で、安静時の血流量が顕著に減少していました。

研究者たちは、血管の内側に並んだ細胞である血管内皮細胞が一酸化窒素(NO)を生産する能力が損なわれていることを発見しました。一酸化窒素には、血管を緩めて血流を増やす働きがあります。この高塩分の餌の悪影響を元に戻すことができるのかを確かめるために、イアデコラ博士と共同研究者たちは、マウスの餌を通常のものに切り替えて、4週間の間育てました。すると、脳の血流量と血管内皮の機能は元に戻りました。

一方高塩分の餌のみで育ったマウスは、痴呆になりました。物体認知テスト、迷路テスト、そして巣作りにおいて有意な機能低下が見られました。巣作りはマウスの典型的な行動の一つで、痴呆マウスでは巣作りに費やす時間が短くなり、通常のマウスよりも少ない材料でしか巣作りをしませんでした。

次に、塩分のとりすぎと痴呆の間の関係の、生物学的な仕組みを明らかにするために実験を行いました。すると、マウスの腸内で、適応的にな免疫反応が起こっていることがわかりました。他の免疫細胞の活性化に重要な役割を果たしている、ある種の白血球グループの活性が上がっていたのです。白血球の一つ、TH17と呼ばれるTヘルパーリンパ球が増加しており、それにより、インターロイキン17(IL-17)と呼ばれるタンパク質の生産量があがっていました。IL-17は免疫機能や炎症反応を調節しており、血管内皮細胞の一酸化窒素生産量を抑えます。

最後に、ROCK inhibitor Y27632と呼ばれる薬をマウスに投与しました。この薬は、一酸化窒素の活性を抑える能力を妨げる、つまり活性を上げます。この薬によって、循環するIL-17の量が減少しました。そして、マウスの行動と認識機能が改善しました。

「IL-17-ROCK伝達系は、認識機能の損傷原因のこれからの研究対象として興味深いです」論文の筆頭著者であり、BMRIの神経科学研究の准教授であるジュゼッペ・ファラコはそう言います。「高塩分食による脳血管や認識機能への影響を抑えるように思えますし、IL-17の増加が原因でおこる、多発性硬化症や慢性関節リウマチ、大腸炎やその他の自己免疫疾患などを持った人たちにとっても有益である可能性もあります」

 

via: Science Daily / translated & text by Nazology staff

SHARE

science_technologyの関連記事

RELATED ARTICLE