意外な強さの秘訣。ティラノサウルスはフィギュアスケーター顔負けの「回転力」を持っていたと判明

history_archeology 2018/11/09
Point
・ティラノサウルスは他の肉食恐竜より2倍すばやく体を振り向けることができる
・驚異的な回転力は、ティラノサウルスの体長の短さと腸骨の上部にある「イリア」と呼ばれる大きな骨による
・「加速回転指標」による計測では、ティラノサウルスの回転力は彼らの半分のサイズの恐竜たちと同スピード

ティラノサウルスといえば、巨大な体や強靭なノコギリ歯など、凶暴な一面がすぐに思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。

まさか彼らがバレリーナのように優雅にピルエットを舞ったり、あるいはフィギュアスケーターのようにくるくる回転したりするところなんて想像もつきません。

しかし実は、彼らの強さの秘訣は力強さよりも、その「回転力」や「敏捷性」にあったようです。新たな研究によると、ティラノサウルスは敵の急襲にもすばやく振り向ける、非常に敏捷な回転力を持つことが判明しました。研究は、今年の10月20日にニューメキシコのアルバカーキで行われた古脊椎動物学会の第78年回にて発表されました。

およそ1億4500万年前から6600万年前の白亜紀に生きていたティラノサウルスの体重は、少なくとも400キロといわれています。それほどの巨体を誇るティラノサウルスが、なぜすばやい敏捷性を持っていたのでしょうか。

ウィスコンシン大学の生物学教授で今回の共同研究者であるエリック・スナイブリー氏は、ティラノサウルスが実際に「くるくる回り」の達人だったと説明しています。それも、他の肉食類である獣脚亜目の恐竜たちの2〜3倍もすばやい敏捷性を誇っていたそうです。

研究結果によると、ティラノサウルスはその巨大なサイズにもかかわらず、鼻先から尾先までの長さがとても短く、さらには腸骨の上部にイリア(ilia)とよばれる大きな骨を持っていることが分かりました。その大きなイリアによって、その他同サイズの恐竜よりも多くの筋肉をつけることができたのです。そして回転に便利な短い体長と、大きなイリアという骨との組み合わせが、回転慣性力(回転している物体が減速するときに発生する抵抗)を低め、力強い回転力を発揮する足の筋肉の付着を可能にしたと考えられます。

この敏捷な回転力は、捕食の際、他の肉食恐竜がわざわざタックルしなければならばいのに対し、ティラノサウルスは体をすばやく振り向かせることで効率的に獲物を捕らえることにつながっているのだとスナイブリー氏は説明しています。またスナイブリー氏は、この回転力はフィギュアスケーターと同じような仕組みで機能していると言います。

スケーターの回転は、手を伸ばしているときよりも、内側に引き寄せた方が速くなります。ティラノサウルスも、その短い体長によってすばやい回転力を獲得しているのです。

研究者たちがティラノサウルスとその他の肉食恐竜との回転力を比較するためにとった手法は、「加速回転指標(turning acceleration index)」。各恐竜の筋肉の力が回転力や回転慣性に与える影響を調査するもので、次の二つの状況下を想定して行われたようです。まず1つ目に、恐竜の両足が地面にしっかりと付いている場合の回転力で、これは獲物が究めて近くにいるときに取る行動です。そして2つ目は、片足を軸にして振り向く場合の回転力。これは逃げ回る獲物を追うときに取る行動です。

以上の2つの状況におけるティラノサウルスとそれ以外の肉食恐竜の回転指標を記録したところ、すべての点においてティラノサウルスの数値がトップという結果になりました。つまり、ティラノサウルスの体格がどれほど大きかろうと、他の同じ体格の肉食恐竜たちよりも常に2倍以上のスピードで振り向くことができるのです。それだけでなく、ティラノサウルスは彼らの半分のサイズしかない恐竜たちとも同じスピードで振り向けるそうで、いかにその敏捷性が優れているかがうかがえます。

 

強さだけでなく回転力も兼ね備えているなんて、なんだかチートキャラ的です。ティラノサウルスが恐竜の王様と言われるのも頷けますね。もし私たちがティラノサウルスに遭遇してしまえば、どんなに懸命に逃げても間違いなく彼らのディナーにされてしまうでしょう。違う時代に生きていることに、思わず感謝してしまいます。

 

「ティラノサウルスを草食恐竜で倒すには?」先生が思わず唸った「夏休み子ども科学電話相談」の質問が面白い

 

via: livescience / translated & text by くらのすけ

 

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