超大質量ブラックホールの巨大な「リサイクルできる噴水」を発見! 星の形成や銀河の進化を促している可能性

space 2018/11/08
(NRAO/AUI/NSF; Dana Berry/SkyWorks; ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))
Point
・ブラックホールは上下にガスのジェットを吹き出すことが知られている
・熱いガスのジェットが冷えて集まり、再び銀河の降着円盤へと沈降することが初めて確認される
・この過程が銀河一般で起こっており、星の形成や銀河の進化を促している可能性

銀河の中央に位置する超巨大ブラックホール。落ち込んできたガスの一部は、上下に光速のジェットとして噴出されます。その吹き飛ばされた冷たいガスが、再び銀河を取り巻く降着円盤に落ちてきて「リサイクル」される様子が初めて観測されました。

研究はハーバード・スミソニアン物理学センターによって行われ、“The Astrophysical Journal”で発表されています。この現象は、「噴水」と呼ばれ、理論的には知られていましたが、実際に観測されたのは初めてです。

A Galaxy-scale Fountain of Cold Molecular Gas Pumped by a Black Hole
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aad6dd

この驚くべき様子は、Abel 2597として知られる銀河団の中心付近にある銀河で見つかりました。

ブラックホールは、光さえも脱出できないほどの重力を持っています。よって、そこから物質が吹き出すことは、もちろんありません。

しかし、ブラックホールを取り巻く降着円盤の物質の一部は、ブラックホールの強力な磁場によって、ブラックホールに落ち込む前に漏斗(ろうと)状に上下に吹き飛ばされ、光速のジェットとして噴出します。それは、地球の磁場で宇宙線が地球の内部に侵入できないことと似たようなものです。

今回の超大質量ブラックホールの噴き出すガスのジェットは、約30,000光年の距離まで届き、冷たいガスはその後、ブラックホールの降着円盤である巨大なフィラメント状星雲へと降り注ぎます。星雲の総質量は太陽の30億倍で、広さは100,000光年にも達します。

研究チームが最初にこのガスの雨を観測したのは、2016年にアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を使って観測したときです。観測された一酸化炭素分子の温度は-260から-250℃の冷たさでした。次にチームは、その結果をヨーロッパ南天天文台のVLTによって得られていた観測結果に結びつけました。もっと熱いガスがブラックホールからジェットとして吹き出していることを示したデータです。

(ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Tremblay et al.; NRAO/AUI/NSF, B. Saxton; NASA/Chandra; ESO/VLT)

さらに、NASAのチャンドラーX線観測衛星を使った観測で、この噴出と沈降現象の結びつきを検証し、確認をとることに成功しました。つまり、ジェットとして吹き出したとても熱いガスが、急速に冷やされて沈降しているということになります。それは、地球上で暖かな湿った空気が雨雲を作り、雨が降るようなものです。銀河に降り注いだ雨は、星を生み出す原動力となり、また、超大質量ブラックホールに戻ってくるのです。

ブラックホールからのジェットの放出と降着円盤への沈降が結び付けられたのは今回が初めてです。同様の過程は銀河の進化における一般的な現象である可能性があります。そのため、星の形成やブラックホールへの物質の供給、銀河のライフサイクルといった現象の解明の一助となり得ます。

 

宇宙の巨大な噴水が星の形成を活発にし、銀河を進化させていた可能性があるという今回の研究。その営みが生命を生むことにつながることを考えると、さながら命の泉を発見したことになるのかもしれませんね。

 

 

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

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