地球には第2・第3の「月」がある!? 地球を周回する新たな天体を観測

space 2018/11/18
Credit: GABOR HORVATH
Point
・地球が持つ月以外の2つの衛星「コーディレフスキー雲」が観測された
・コーディレフスキー雲は地球と月の間に存在する5つの「ラグランジュ点」のうち、L4とL5で観測された
・コーディレフスキー雲はちりでできていて、光を偏光するため、観測には「偏光レンズ」が用いられた

月以外の衛星が地球に存在するのか否か—。

半世紀以上にわたって数多くの天文学者たちが挑んできたこの謎に対する答えが、ついに示されました。月の他にも2つの天体が地球の周囲を回っていることが実際に観測されたのです。

観測したのは、ハンガリーの研究チーム。ちりでできた2つの巨大な天体が、地球を周回している様子をはっきりと捉えました。論文は、11月1日付で学術誌“Monthly Notices of the Royal Astronomical Society”に掲載されました。

Celestial mechanics and polarization optics of the Kordylewski dust cloud in the Earth–Moon Lagrange point L5 – Part II. Imaging polarimetric observation: new evidence for the existence of Kordylewski dust cloud
https://academic.oup.com/mnras/article/482/1/762/5114270

実は、これらの天体が最初に発見されたのは、1961年です。第一発見者であるポーランドの天文学者カジミェシュ・コルディレフスキ氏の名前にちなんで、ちりの雲は「コーディレフスキー雲」と呼ばれています。

コーディレフスキー雲の特徴は、地球の軌道上の「ラグランジュ点」に存在することです。ラグランジュ点とは、2つの天体の求心力と重力の均衡が保たれる点のことで、これらの点にある天体は、地球からも月からも一定の距離を保って、比較的安定した位置に留まります。地球と月の間には5つのラグランジュ点が存在しますが、コルディレフスキ氏が目を着けたのはそのうちの2つ、L4とL5で、ハンガリーの研究チームが今回観測したのものこれらの地点でのことでした。

コーディレフスキー雲はかなり巨大で、その直径は月の20倍ほどにもなります。地球からは約40万キロ離れており、これは地球と月の距離とほぼ同じです。「そんなに大きいのになぜ今まで見つからなかったのだろう?」と素朴な疑問が浮かんできますが、これには理由があります。ちりの粒子は太陽の光をかすかにしか反射しないため、目ではほとんど見ることができないからです。

Credit: Mysterious Universe

今回、容易に見ることのできないちりの雲と捉えることができたのは、「偏光レンズ」のおかげでした。コーディレフスキー雲は、光を偏光させ、跳ね返すと推測されていたため、跳ね返された光を見ることができる望遠鏡を用いれば簡単に観測できるはずだと研究チームは考えました。結果、彼らの予想は的中。ちりが跳ね返した光をばっちり捉え、そのパターンが数式モデルから導き出された予測と一致することを確認しました。

ラグランジュ点は、宇宙ステーションや人工衛星の設置場所として最適なスポットだと考えられています。ラグランジュ点に設置すれば、無駄な燃料を使わずに済むからです。しかし、こうした繊細な装置が万一ちりの大軍にぶつかれば、安全や費用の面で甚大な損害が生じる可能性があります。その意味でも、今回コーディレフスキー雲の存在が前もって判明したことは好都合でした。研究チームは、L4とL5以外の地点にも同種の雲が存在する可能性があると推測しています。

また、コーディレフスキー雲を構成する個々のちりの粒子は、太陽風で吹き飛ばされ、彗星の尾などが運んで来るちりと絶えず入れ替わっている可能性が高いのだとか。つまり、雲の位置ははほとんど変わらないように見えても、雲自体は常に変化し続けているのです。

 

半世紀という長きにわたる天文学的・数学的な試行錯誤の末にもたらされた今回の発見は、宇宙にたくさんの謎があふれていることを私たちに教えてくれます。日に日に寒さが増し、空気が澄んできた今日この頃、時には夜空を見上げて、宇宙のロマンに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

かつて「月」に生命が存在したかもしれない

 

via: bigthink, nationalgeographic, mysteriousuniverse/ translated & text by まりえってぃ

 

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