廃水から「金」を選択的に吸収できる夢のスポンジを開発

technology 2018/11/14
Photo on VisualHunt
Point
・廃水や海水には、かなりの量の金が溶け込んでいるが、取り出す方法がなかった
・有機物の骨格と鉄イオンでできた粒子をポリマーでコーティングしたスポンジで溶液中の金の99%を選択的に回収することに成功
・多くの不純物を含む廃水や海水でも99%の金を回収することに成功

次のゴールドラッシュは下水道で起きるかもしれません。

実は、下水や産業排水、海水の中には金が混ざっています。その量は莫大なのですが、抽出技術がないため、貴重な資源が埋蔵されたままになっているのです。

しかし新たな研究によって、最も効率的に液体から金を抽出できる方法が開発されました。研究は、11月5日付で“Journal of the American Chemical Society”に掲載されています。

Rapid, Selective Extraction of Trace Amounts of Gold from Complex Water Mixtures with a MOF/Polymer Composite
https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jacs.8b09555

高価な貴金属である金は、その希少さゆえに、富を蓄える手段として用いられてきました。人類が今までに堀り出した金の総量は、190,000トン。これは、20メートル四方の箱に収まるほどの量です。

しかし、金は私たちの身の回りにいくらでも存在しています。スマートフォンにも金は使われていて、その廃棄物には、回収されず残った金が捨てられているのが現状です。また、スイスの廃水には年間で180万ドル相当の金が捨てられているといわれており、海には総量で2千万トンもの金が眠っているのです。

希少な金ですが、科学技術において不可欠な素材としても使われています。劣化せず、伝導体として優れているとともに、赤外線を反射する金。その性質から、金はただ富を蓄積するという役割だけでなく、様々な応用、たとえば、関節炎や虫歯の治療・集積回路の配線・宇宙探査機の外装といった実用的な役割を担うようになってきているのです。そのため、需要を満たすため排水や廃棄物の中に埋もれた金をリサイクルし、新たに海洋から金を抽出する必要が出てきました。

Credit: Sun et al. 2018

開発されたのは、金を選択的に吸収する粒子で、有機物の枠組みと鉄イオンから出来ています。さらに、金の分子が吸着しやすいようにポリマーでコーティングされスポンジになっています。枠組となる有機物の原料は、1,3,5-ベンゼントリカルボキシレンで、ポリマーはポリパラフェニレンジアミンです。舌を噛みそうな名前ですが、このスポンジは、水や洗剤を含む代わりに、金を選択的に吸収します。

金を含む溶液にこのスポンジを1グラム混ぜるごとに、最大で1グラムの金が吸収されます。非常に効率も高く、2分という短い時間で、約99%の溶け込んだ金を吸収できます。吸収された金を取り出すのも簡単で、塩酸で有機物を溶かすことで金が残ります。その純度は23.9Kと同種の技術でも最大です。

Credit: Sun et al. 2018

新技術のテストは、実際の環境でも行われています。電子機器廃材や、廃水、海水からの金の回収です。いずれの試験でも溶け込んだ金の99%を回収することに成功しています。廃水や海水には多くの不純物が含まれていることを考えるとこの結果は非常に有望なものです。

 

廃水が金鉱に変わるとはまさに夢の技術。ぜひともこのスポンジ、譲って欲しいものです…。

 

 

via: Big Think/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

technologyの関連記事

RELATED ARTICLE