「社内の給料情報共有」が海外でトレンドに? ただし同僚はNG

society 2018/11/13

給与情報は「シェア」がトレンド?

あなたは上司や同僚の「給料」を知りたいと思いますか?

お金に関する話題はセンシティブなものであり、あまり踏み込みすぎると「デリカシーがない人」であるとして、他者から距離を置かれる要因となってしまいます。

しかし、そのような常識は現在変わりつつあるようです。なんと、ミレニアル世代の1/3が自分の同僚と給料についての情報をシェアしはじめたという米国The Cashlorette社の調査結果が発表されました。

果たしてこの先、今まで通り給料の情報は「タブー」として扱われるべきなのでしょうか?それとも、企業はいっそすべてを「見える化」すべきなのでしょうか?

「向上心」を刺激しつつ「自尊心」を守れ

 

これに関して、全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)がアジアの巨大銀行の従業員2,060人に対して調査を実施しています。そこでは彼らにまず、自分のマネージャー(上司)の給料について予想してもらいました。すると、多くの従業員が上司の給料を実際よりも「14%も低く」見積もっていたことが判明しました。

その後、ランダムに選んだ従業員の半数にマネージャーの「実際の給料」を伝え、その仕事ぶりを観察。すると、実際の給料を知らされなかった従業員に比べ、給料を知った従業員はより働くようになり、上司の給料を知る前よりも1.1%以上売上を増加させていたことが分かりました。

当然ながら、これは彼らの「向上心」が刺激された結果であると考えられます。上司が「思っていたよりももらっている」となれば、自分も頑張っていつかそのポジションに就きたいといったモチベーションが湧いてくるでしょう。

しかし、これが上司ではなく「同僚」の給料であった場合には話が違ってきます。同じ職場において、従業員に上司ではなく「同僚」の本当の給料を知らせたところ、同僚の給料について低く見積もっていた従業員の働く意欲は削がれ、なんと売上が7.3%も劇的に低下したというのです。

ミレニアル世代が給料の情報をシェアしているといった事実を踏まえれば、これは会社にとってバッドニュースと言えるでしょう。自分の給料が同僚よりも低いといった事実は、向上心に火をつけるよりも自尊心を傷つけ生産性を低下させてしまうようです。

雇い主のアプローチが問われる時代

結局のところ、企業は給料を「見える化」すべきなのでしょうか?

この調査だけではその答えを導き出すことはできませんが、給料の見える化が従業員のモチベーションに大きな影響を与えてしまうことは間違いなさそうです。

企業が取りうる選択肢の一つとしては、昇給を「個人単位」ではなく「チーム単位」で行うことが挙げられます。全員の給料が明らかになった上での個人に対する昇給や昇進は不公平感を生みやすく、全体の生産性を考えると「チーム単位」でインセンティブを与えたほうが効果的であることが考えられます。

また、別の調査においては、雇い主が従業員に平均給与について話をした上で、なぜその従業員がその給料をもらっているのかについてコミュニケーションをとっていた場合には、多くの従業員が納得して働いていることも分かっています。

センシティブで扱いが難しい給料の問題ですが、今回フォーカスを当てた「見える化」を含めて、企業は労働者のモチベーションを維持し続けるために、この問題に対する妥当なアプローチを探り続けていかなければなりません。

 

頼まれるまで同僚に手を貸すべきではない理由

 

via: bigthink / translated & text by なかしー

 

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