ゴースト銀河を発見? 大マゼラン級なのに星が少ない…説明不可能な衛星銀河が観測される

space 2018/11/14
Image: Imperial College London
Point
・Gaia計画で集められたデータの中から、大マゼラン雲に匹敵する大きさの暗い銀河を発見
・しかし含まれる星の数は大マゼラン雲の10,000分の1しかなく、どのように大きくなったのかは謎
・この銀河は矮小銀河に分類され、宇宙の早い段階で形成されたと考えられる

インペリアル・カレッジ・ロンドンの天文学者を含む研究チームが、Gaia計画で収集された最新データの中から、天の川銀河をとりまく新しい銀河を発見しました。この新しい銀河は天の川銀河の3分の1という巨大なものですが、低密度で、消え入りそうなほど暗いことから「ゴースト銀河」とも呼ばれ、現在の理論では説明が付かないものです。論文は、プレプリントサーバ“arXiv”で読むことが出来ます。

The hidden giant: discovery of an enormous Galactic dwarf satellite in Gaia DR2
https://arxiv.org/abs/1811.04082

この銀河は“Antlia 2”(Ant 2)と名付けられていますが、今まで観測されていなかったのはその低い密度と、地球から見て天の川銀河の中央の明るいディスクに隠れた位置にあったためです。Ant 2は矮小銀河に分類されます。矮小銀河は宇宙の初期に形成されたと考えられており、そのため含まれる星は古いものが多く、星の材料に重たい金属は含まれていません。

Ant 2は矮小銀河としては非常に大きく、大マゼラン雲のサイズに匹敵します。しかし、大マゼラン雲に比べると非常に暗く、10,000分の1の明るさしかありません。つまり、含まれる星の数も10,000分の1しかないのです。

現在の理論では、このように巨大でありながら星が少ない銀河を完全に説明することは出来ません。矮小銀河が大きく膨れるには、活発な星の形成が必要だということが今までの研究で示されています。Ant 2では、この膨化の効率が極めて高いとでも説明するしかありません。あるいは、暗黒物質の性質が今まで考えられていたものとは異なる可能性もあるでしょう。また、これまでは「暗黒物質は銀河の中心に集中してクラスターを作っている」という説が有力でしたが、この銀河は、「暗黒物質がクラスターをあまり作らない」ことを示唆している可能性もあるのです。

Image: Imperial College London

今回はGaiaのデータの中から、衛星銀河をこと座RR型変光星を使って調べることで発見されました。こと座RR型変光星は距離の測定に使われますが、このタイプの変光星は年代の古いものであり、矮小銀河に存在することが分かっています。

Gaiaのデータで発見されたAnt 2は、オーストラリアのアングロ・オーストラリアン望遠鏡での確認も取れています。銀河の質量も計算され、大きさの割に非常に軽いことが確認されました。

 

Gaiaのデータは、宇宙望遠鏡を使った精密な観測によって約17億もの星の正確な位置と運動を記録しているといいます。この膨大なデータには、まだまだ多くの新発見が眠っているでしょう。今回の発見は氷山に一角にすぎません。天文学者たちの知恵を絞った様々なアプローチで、宇宙の未知の姿が明らかにされることに期待しましょう。

 

天の川銀河で「最古の星」が見つかる。銀河の歴史をひも解く鍵?

 

via: Imperial College London/ translated & text by SENPAI

 

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