世界に「反物質が存在しない理由」を説明できる理論が発表される

quantum 2018/11/15
Credit: David Weir
Point
・素粒子物理現象を説明する模型の一つに2ヒッグスダブレット模型がある
・2ヒッグスダブレット模型に次元減少のアプローチを加えることで、ヒッグス粒子出現時に均衡が崩れることをシミュレーションで確認
・物質と反物質の非対称性がヒッグス粒子出現時の不均衡で生まれた可能性

コンピューターシミュレーション使うことで、「宇宙に反物質より物質が多い理由」を説明できるかもしれません。

このシミュレーションは、ビックバン直後の状態を研究する新しい方法を提供し、素粒子物理学の根本となる謎を解く可能性があります。研究はヘルシンキ大学で行われ、“Physical Review Letters”で発表されています。

Nonperturbative Analysis of the Electroweak Phase Transition in the Two Higgs Doublet Model
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.121.191802

素粒子物理学の標準模型においては、物質と反物質の間に違いはありません。しかし、私たちの宇宙が物質だけでできているという証拠は、山のようにあります。もし反物質が存在するなら、近くの物質と対消滅して、強力なガンマ線の放出が観測できるはずですが、いまのところそのような例は存在しません。そのため、物質と反物質のこの非対称性は素粒子物理学の大きな謎の一つとなっています。

この問題を解決するために、物理学者たちは新しい素粒子を理論に加えて考えました。その中の一つが、2ヒッグスダブレット模型です。この模型では新たな素粒子を4つ加えて考えます。この模型は、現在までに行われたすべての素粒子物理学的観測と矛盾しないものです。しかし、物質と反物質の不均衡問題を解決できるかは、これまで定かではありませんでした。しかしヘルシンキ大学のチームは、別の角度からその解決へ取り組んだのです。

ビッグバンの10ピコ秒後、重力をもたらすヒッグス粒子が現れた時、宇宙は一つのプラズマの熱い塊でした。研究チームは「次元減少」という技術を使って、この熱いプラズマを描写する理論を置き換えました。そうすることで、簡潔な量子論と、すべての素粒子が従う必要のある一揃いの規則だけで、理論を作れます。この新しい規則を適用しても、重く動きの遅い粒子にはほとんど影響がないことから、より簡潔な理論となったのです。

その後、この理論を使ってコンピューターシミュレーションを走らせたところ、ヒッグス粒子が生まれたときに宇宙の均衡が激しく崩れることがわかりました。この均衡の破れは、物質と反物質の非対称性が、この時点で生まれたとする見方を取るときに重要となります。

 

もし、ヒッグス粒子の出現がこのように激しかったとすると、反響を生み出すはずです。宇宙の新たな位相の泡は、雲のように広がって宇宙は曇り空のようになり、泡の衝突は多くの重力波を生み出すでしょう。研究者たちは、このような重力波が検出されることを心待ちにしています。

 

「宇宙は存在しない」。物理学者が「反物質」を調べた結果、驚くべき事実がわかる

 

Via: Science Daily/ translated & text by SENPAI

 

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