オウムアムアはやはり宇宙船ではない? 不可解な軌道変化、正体は「ガス噴射」

space 2018/11/16
Credit: NASA/JPL-Caltech/軌道変更噴射するオウムアムア
Point
・太陽系に迷い込んできた小天体「オウムアムア」の軌道は、重力だけで説明がつかない変化を起こしているため、様々な憶測を生んでいる
・スピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線観測で、オウムアムアが小さく反射能が高かったことがわかる
・その大きさの推定値から、ガス噴射による軌道の変化という説が支持される

小惑星?彗星?それともエイリアンの宇宙帆船

太陽系外からの訪問者「オウムアムア」の正体については、その登場以来、意見が二転三転しています。一体本当の正体は何なのでしょうか。

2017年、オウムアムアは太陽を周回した後、地球に近づいた際に発見されました。その後、多くの天体望遠鏡がオウムアムアに向けられ観測が行なわれましたが、その中の1つが、赤外線を観測するスピッツァー宇宙望遠鏡です。発見後、数週間に渡って観測が行われましたが、近日点通過から2ヶ月後には、赤外線での検出が不可能になっていました。

しかし、観測不能になったという事実によってわかったことがあります。オウムアムアのサイズは小さく、光の反射能が高かったということです。反射能とは、光などが物体表面に垂直に入射するときの、入射エネルギーに対する反射エネルギーの比を指します。

さらにそのサイズから、重力だけでは説明のつかない軌道の変化はガスの噴射によるものだという説明に説得力が出てきました。研究はNASAによって行なわれ、結果は11月14日付で“Astronomical Journal”に発表されています。

Spitzer Observations of Interstellar Object 1I/’Oumuamua
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/aae88f/meta

多くの観測は、地上からの複数の天体望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡による、可視光での観察をベースとしています。オウムアムアは発光しているわけではなく、太陽光を「反射」することで観測可能となっているのです。一方スピッツァー宇宙望遠鏡は、赤外線でオウムアムアを見ています。赤外線は、物が熱を持ったときに放射される電磁波です。したがって、オウムアムアが太陽光を「吸収」して熱を持ったときによく見えるというわけです。

赤外線での観測が不可能となり、可視光では見えていたということは、オウムアムアの反射能が高く、サイズが小さかったということになります。研究で示されたのは、3つの可能性で、サイズの予想としては、小さい順に98m、140m、440mで、アルベドと呼ばれる反射能は、0.2、0.1、0.01です。

Photo credit: Hubble Space Telescope / ESA on VisualHunt / CC BY

この結果はまた、オウムアムアが太陽系内の彗星よりも10倍も反射能が高いことを示しています。彗星は太陽との距離によってアルベドが変化します。彗星の氷が熱せられると直接ガスになって噴出し、彗星表面の塵を吹き飛ばし、反射能の高い氷の表面が出てくるのです。オウムアムアでも同じことが起こったと考えられます。

ただ、オウムアムアを構成するガスについては未だはっきりしません。大きさや反射率からは一酸化炭素や二酸化炭素だと考えられるのですが、軌道を変えた噴射から考えると、おそらくは「水」であると考えられるのです。本論文でも、「我々の研究によってさらに謎は深まった」という記載があります。

 

この解明には、オウムアムアを再び観測する手段はありません。オウムアムアはどこから来て、どのように進化してきたのでしょうか。そして、謎が解ける日は来るのでしょうか。

 

「星間小天体」は銀河全体に生命を広げる可能性を持っている

 

via: NASA/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE