動物でも植物でも真菌でもない? 不思議な新種の真核生物が発見される

animals_plants 2018/11/16
Credit: Yana Eglit
Point
・大学院生がハイキング中に持ち帰った土の中に、珍しい分類不能の真核生物を発見
・Hemimastigotesの一種であるこの生物が新種であることが分かり、飼育して増殖させることに成功
・遺伝子解析の結果、動物界や植物界の上の分類である「上界」を形成するものであることがわかる

カナダの研究者が、動物界にも植物界にも属していない非常に変わった新種の真核微生物を発見しました。

また、2種を同じサンプルから発見し、飼育にも成功しています。遺伝的な解析も行なわれています。発見したのは、ダルハウジー大学の大学院生ヤナ・エグリット氏。ノバスコシア州にハイキングへ出かけたついでに集めた土のサンプルからの発見でした。論文は“Nature”で発表されています。

Hemimastigophora is a novel supra-kingdom-level lineage of eukaryotes
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0708-8

発見されたのは“Hemimastigotes”の一種。過去100年の間では約10種の記録があるにすぎず、遺伝子解析もされていなかったことから、分類不明とされてきました。今回の発見で、“Hemimastigotes”と他の真核生物の共通の先祖は、動物が生まれてくる5億年前に存在したことが推測されます。

エグリット氏が春のハイキングに行ったのは2年前。他の学生と一緒にハリファックス郊外のザ・ブラフ・ワイルダーネス・ハイキング・トレイルに散策に出かけた時のことです。エグリット氏はポケットやバックに空のサンプル瓶を持ち歩くことが常となっており、気まぐれで散策路の脇の土をスプーンで数杯すくって持ち帰りました。

3週間後、休眠中の微生物を復活させて観察するため、研究室で土壌サンプルをいつものように水に浸しました。そしてその後数週間に渡り観察を続けていたある日、とても奇妙な生物を見つけました。その生物は鞭毛に覆われていますが、他の鞭毛を持つ微生物とは違って、鞭毛の動きに統制が取れておらず、ランダムな動きをしていました。実はエグリット氏には、その奇妙な動きに心当たりがありました。数年前に見た貴重な“Hemimastigote”の動きと酷似していたのです。

“Hemimastigote”が最初に見つかったのは19世紀ですが、この生物が進化系統樹のどこに位置するのかは謎不明でした。“Hemimastigote”は動物や植物のように細胞内小器官を持つため、細菌や古細菌ではなく、真核生物であることが分かります。エグリット氏はこの謎に挑戦するため、同僚の大学院生と一緒に、この新しい微生物の研究に没頭しました。

観察を続けていると、驚いたことに、その同じ培養皿に違う種類の“Hemimastigote”を発見しました。このような珍しい生物が、同じサンプルの中から2種類も見つかったのです。さらに、この2つ目に発見された“Hemimastigote”は新種であることが判明。研究者たちは、この新種に“Hemimastix Kukwesijk”と名付けました。ミクマク族の神話に登場する、欲深くて毛深い鬼にちなんだ名前です。

Crecit: Yana Eglit/ Nature

“Hemimastix”には、エサを取り込む頭がついていて、銛のような器官で珪藻を捕らえて捕食します。そこで、研究者たちはこのエサとなる珪藻を育てて、“Hemimastix”に与えてみました。すると、与えられたエサを食べて増殖さえするようになったのです。つまり、この新種の生物を飼育することに成功したのです。それによって、増殖させて遺伝子解析を行ったり、他の研究室に分け与えることが可能となりました。

現在までの遺伝子解析の結果、“Hemimastix”が独特で他の生物とは異なっており、“Hemimastix”だけが属する「界」の上の分類「上界」を形成することが分かりました。

 

研究は現在も続いており、より完全な遺伝子解析などが行なわれています。今回の発見は、真核生物の進化の研究において、大きなものとなりました。その発見をもたらしたのは、ハイキング中に「たまたま」集めた土です。もしかしたら私たちの身の回りにも、何か大きな発見が眠っているかもしれません。

 

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via: CBC/ translated & text by SENPAI

 

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