敵の「首」を狩って巣に飾り付ける…イカれたアリ「フロリダアント」の習性が明らかに

animals_plants 2018/11/22
Point
・フロリダアントというアメリカに生息するアリは、天敵のアギトアリの首を切り離して巣に飾るという奇怪な行動を取る
・ハイパースピードカメラと低速度カメラを用いた撮影では、フロリダアントが強力なギ酸で獲物を仕留める様子が観察される
・首を装飾品にする詳細な理由は不明だが、食料源として保存している説が最も有力である

映画『プレデター』を観たことがあるでしょうか。彼らは強靭な肉体を駆使して獲物を狩り、ときには狩った獲物を戦利品として身につけることもあります。もし、そんな恐ろしい存在がこの世にいたら身も凍る思いですが、昆虫界にはプレデターのような行動を取るアリが存在するのです。

フロリダアント(Formica archboldi)と呼ばれるアリは、アギトアリ(Odontomachus)という天敵アリの首を切り落として、なんと自分たちの巣に飾り、装飾品にする習性があります。このフロリダアントの恐ろしい行動は、1950年台より専門家たちの間で知られていましたが、その詳しいところは謎のままでした。しかし今回、ノースカロライナ州立大学の研究者らが、ハイスピードカメラと低速度カメラを用いた撮影によってフロリダアントたちの奇怪な行動の実体に迫ることに成功したのです。

Prey specialization and chemical mimicry between Formica archboldi and Odontomachus ants
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00040-018-0675-y

その動画が以下です。

肉眼で見るアリたちの瞬間的な動きは、尋常ではないほど速く、ほとんど霞んで何も見えません。しかしこれら2つの撮影技術は、私たちが普段のスピードで観察するより以上に、何が起きているのかを事細かに教えてくれるものでした。

ノースカロライナ州立大学教授エイドリアン・スミス氏は、研究所にフロリダアントのコロニーをつくり、そこにアギトアリを数匹入れました。そして、その様子をハイスピードカメラと低速度カメラを用いて撮影し、何が起こっているのかを詳しく調べました。

そこで観察されたのは、フロリダアントがとてつもない速さで下腹部からギ酸をスプレー状にしてアギトアリに浴びせかけている様子でした。ギ酸を浴びたアギトアリは、瞬時にして立ち上がれなくなり、歩くこともできなくなったのです。

またそれと同時に、低速度カメラを使って、フロリダアントの巣の中の様子を24時間体制で監視しました。すると、フロリダアントは気絶したアギトアリを巣に引き込んだあと、すぐにそのからだを舐めはじめ、体を噛んで殺し、食料保存所へと移したのです。それから18時間ほど経ったあと、突如としてフロリダアントはアギトアリの首を引っ張って、胴体から切り離すという行動を取りました。そして切り離されたアギトアリの首がいくつも巣の中に並べ立てられたのです。

Credit: Ant Lab

スミス氏によると、フロリダアントは多種存在するアリの中でもかなり「イカれている」種類であるらしく、敵の亡骸を巣に飾るという奇怪な行動を取るアリは他に観察されていません

ただし、フロリダアント自体はめずらしい種類ではなく、アメリカ中に存在し、特にフロリダでは道端などでよく見かけられます。フロリダアリは、ばね仕掛けの強靭な下顎を持っており、獲物を捉えてから巣に持ち帰るまで、およそ100マイルもの間がっちりと獲物を挟んだまま離しません。また、強力な毒針も持っており、下顎で挟んだ獲物に打ち込むんで麻痺させることができるのです。巣に持ち帰った獲物は、我が子たちにエサとして分け与えてやります。フロリダアントは、まさにプレデターなのです。

なぜフロリダアントがアギトアリの首を飾るのかについて、詳しいことは分かっていません。スミス氏の見解では、フロリダアントがアギトアリの体を食料源として取り置きしているというのが最も有力だとのこと。というのも、巣の中に置かれているアギトアリの亡骸を観察してみれば、その下腹部あたりに切れ目があるのが分かります。そしてその中身は空っぽにされ、軽いおやつとして子どもたちに分け与えられているのです。

しかしながら、なぜアギトアリの首を切り離す必要性など、正確な目的は目下研究中とのこと。フロリダアントが獲物を狩った証拠に、戦利品として首を巣に飾り付けているということも十分に考えられます。もしかしたらフロリダアントは、プレデターのようにアリ中で最も誇り高き戦闘民族なのかもしれません。

 

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via: theverge / translated & text by くらのすけ

 

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