未来のタイミングを予測するとき、脳は「2つの時計」を使っていると判明

brain 2018/11/22

Point
・未来のタイミングの予測には、脳内の時計として働く領域が関与している
・パーキンソン病患者と、小脳発育不全患者に、タイミングを予期させる実験を行った
・その結果、大脳基底核がリズムによるタイミング調節に、小脳が経験によるタイミング調節に、それぞれ独立して働いていることがわかる

徒競走や競泳では、合図に反応してスタートを切ります。この時の反応のタイミングは、体内の時計を使って測られており、それを予測的タイミングと呼びます。2つの脳の領域が関わっていることが、最新の研究で分かりました。一つは大脳基底核、もう一つは小脳です。研究は、カリフォルニア州立大学バークレー校の研究者によって行なわれ、11月13日付で“PNAS”にて発表されています。

Double dissociation of single-interval and rhythmic temporal prediction in cerebellar degeneration and Parkinson’s disease
http://www.pnas.org/content/early/2018/11/12/1810596115

脳の2つの時計は、それぞれ経験に基づく予測と、リズムを司っています。スポーツ、音楽、スピーチなど、タイミングが必要となる場面では、それぞれが独立して働いており、タイミングを取ることは一つの統合された仕組みによらないことが示されたのです。

研究は、パーキンソン病の患者や、小脳に発育異常が見られる患者を対象に行なわれました。パーキンソン病は、手足の震えや動きの制限などが起きる病気で、神経伝達系物質のドーパミンの減少や大脳基底核の異常によって症状が出ると考えられています。大脳基底核は、リズムを司っており、小脳は経験を元にした時計として働きます。いずれの領域も、動きや認知に関わっている脳の中枢領域です。

実験方法は次の通りです。赤、白、緑のパネルが様々なスピードで順番に光るのを参加者に見てもらい、緑のパネルが光った時点でボタンを押してもらいます。緑のパネルが光るのは必ず白のパネルの後となるので、参加者はボタンを押す前に予期することができるのです。

結果は、パーキンソン病の患者と小脳発育不全の患者で対称的なものとなりました。赤、白、緑のパネルが変わらないリズムで光った時、小脳発育異常の患者は最適なタイミングでボタンを押すことができました。一方、パターンがもっと複雑になり異なる間隔で光った時、パーキンソン病患者はそのパターンに慣れることで、成績が良くなりました。つまり、小脳発育不全では、リズムによらないタイミング調節が害され、大脳基底核の異常では、リズムによるタイミングが害されているということです。

 

この結果は、脳がタイミングを図る時、一つの統合されたシステムによって調節されるという説を否定しています。また、パーキンソン病や小脳発育不全の患者が、機能している別の脳の時計を使うことで、タイミング調節を補完できることを示唆しており、新たな治療法の開発に役立つと考えられます。

 

 

 

via: Science Daily/ translated & text by SENPAI

 

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