ジェットもプロペラもない!イオン風で飛ぶSF的飛行機を開発

technology 2018/11/22
Credit: MIT
Point
・プロペラやジェットといった可動部を持たない、イオン化によって生み出された「イオン風」だけで飛べる飛行機を開発
・以前は不可能であったが、軽量化と推進力の強化で実現に成功
・今後は大型化により、速度と距離を伸ばすよう改良する予定

またもやSFの世界が近づいてきました。

MITの研究者が、推進システムとして可動部の無い飛行機を開発、60mのテストフライトに成功しました。プロペラもジェットもなく、飛行機の未来を予感させる技術です。研究は11月21日付で、“Nature”にて発表されています。

Flight of an aeroplane with solid-state propulsion
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0707-9

この飛行機は、強力な電場で荷電した窒素イオンが後方へと動くことで「イオン風」を起こし、推進力を得ています。この成果はまさに「イオン風」テクノロジーのブレイクスルーといえます。

研究を行ったスティーブン・バレット氏は次のように述べています。「私は『スター・トレック』の大ファンです。当時私は、未来の飛行機は静かで可動部もなく、できれば青く光っているものでなければならないと思っていました。プロペラやタービンといったものがついていないのは当然です。なので、私は物理学の中で可動部品がなく飛行を可能にする技術がないか探しました。そして、1920年代に最初に調査が行なわれた、イオン風として知られるコンセプトに行き当たったのです」

当時はまだ研究が進んでおらず、1950年代に一度見直す動きがあったものの、結局この技術で飛行機を作ることは不可能だと結論付けられました。しかし、彼は諦めません。大学院生たちとともに研究を行い、その理解に努め、最適化に臨みました。

プロトタイプとなった飛行機には複葉機のような翼があり、その前端には600ワットの電源で40,000ボルト帯電する電線がはられています。強力な電荷で電線の周囲の窒素が荷電してイオン化し、翼の後端のマイナスに帯電した電極との間にできた電場に沿ってながれます。そのとき、イオンが空気中の中性分子とぶつかることで風が生まれ、推進力となるのです。

そしていかに軽く、強力な電力を生み出せるかという技術的課題に取り組んだ結果、5メートルの翼を持つ機体を2.45kgという軽さで作ることに成功したのです。

このプロトタイプ飛行機の名前は「バージョン2」とちょっとそっけないですが、今後はこの機体をさらに大型化させることで、速度と飛距離の改善に取り組む予定です。電力のみで動き、昨今のドローンのようなプロペラも持たないこの機体、開発が進めば、太陽パネルを取り付けて高い高度で飛ばし、人工衛星の役割を担うこともできるでしょう。

 

可動部を持たず、静かで二酸化炭素の排出もない…。これこそ「未来の飛行機の形」といった飛行機ですね。SFに出てきた謎技術も、こうした科学者のたゆまぬ探究心で実現されていくのでしょう。

 

 

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via: The Guardian/ translated & text by SENPAI

 

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