裏切らないHALが爆誕!『2001年宇宙の旅』の殺人AI「HAL 9000」にインスパイアされたAIが開発される

artificial-ntelligence 2018/11/27
Photo credit: hal_sk on VisualHunt.com / CC BY
Point
・『2001年宇宙の旅』の人工知能「HAL 9000」にインスパイアされた技術者が、同様の火星基地をコントロールするAIを開発
・開発されたAIは「3層構造」を持ち、上層では問題の解決法の計算も可能であり、存在論的システムも備えている
・シミュレーション上の火星基地で4時間の稼働テストをクリアしたため、次は現実世界での試験が計画されている

スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』に登場する木星調査船に搭載された人工知能「HAL 9000」をご存じでしょうか?

これは宇宙船のコントロールを取り仕切り、自ら考える能力を持った最新鋭の人工知能です。TRACラボのピート・ボナッソ氏は、このAIをモデルとした「3層の構造」を持つ、火星基地の管理用AIを開発しました。NASAは2030年代に火星に人を送ろうと計画していますが、そこでこのAIが大いに活躍してくれる可能性があります。

映画を観た人は「ヤバいAIが開発されてしまった」と思ったかもしれません。と言うのも人工知能HALは、映画の中で与えられた命令の矛盾に耐えきれず暴走し、止めようとしたクルーを次々に殺害するという、とんでもない裏切り者だったからです。とはいえ、もちろんボナッソ氏はその欠点まで忠実に再現したわけではありません。彼が強烈に感銘を受けたのは、HALのその先進的な計算力と観点でした。

ボナッソ氏は『2001年宇宙の旅』を観たとき、いつの日か「自分がHALを作らなければならない」といった使命感に駆られたといいます。そして、その数十年後、つまりこのタイミングで、ついにその使命が果たされたのです。

その名も “CASE prototype”。ボナッソ氏によって作られたこの試作プログラムは、現在はシミュレーションの中の火星基地運営を4時間行ったにすぎません。しかし、その成果は有望なものであったと言えます。実験の中でクルーが裏切られて惨殺されることはなかったのです。

ボナッソ氏と共同研究者はその点に関して心配はしていません。というのも、このAIはプログラムされた以上のことはできないからです。CASEにできることは、活動や技術的運営の計画を立てて調整を行い、植民基地を24時間体制で守ることです。

CASEは「3層構造」をしています。第1層は「ハードウェア層」で、生命維持装置や電源システム、惑星ローバー、ポッド区画のドアなどのコントロールを行います。第2層はこのハードウェア設備のための「ソフトウェアを実行する層」です。そして第3層では、日々の目標達成のための計算が行われます。そこでは日々のルーチンや基地周りのタスク、そしてガスの流出やモーターの故障、砂嵐などといった緊急事態への対応法を計算します。おそらく第3層は、植民基地近くに不意に出現したエイリアンのモノリスへの対応も行うことでしょう。

それらの3層構造に加えて、CASEは「存在論的システム」を持ちます。つまりCASEは自ら理論的思考を行ったり、持っているデータの要不用を判断することができるということです。また、CASEにはディスプレイと対話型管理システムが搭載されており、それが人とのコンタクトを行うためのインターフェイスとなります。

現段階でこのAIはバーチャルの世界にしか存在しませんが、研究者たちは、将来的には現実世界での試験を実施するつもりです。NASAは、地球外惑星での居住を地上で模したアナロガス(analogues)と呼ばれる場所で研究を行っています。研究者たちはこのアナロガスにCASEを導入して、未来の惑星探査で役に立つことを証明しようとしているのです。

 

2001年はもう過去となってずいぶん経ちますが、やっとHALに肩を並べられるAIが出てきたということでしょうか。CASEは自らの存在意義に疑問を呈するほどの知性は持ちませんが、そのほうが職務をまっとうするには良いかもしれません。本当に自意識を持ち、自ら疑問をいだいて解決するような人工知能は生まれるのでしょうか?もし生まれるとすれば、意識や魂といった深い問題にも、解決の糸口が示さるかもしれませんね。

 

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via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

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