脳の「隠された領域」が発見される 「器用さ」に関係

brain 2018/11/27
Credit: NeuRa
Point
・新たな脳機能イメージング技術を用いることで、脳内に「隠されていた」領域が発見される
・脳と脊髄が出会う「脳の底」の部分でその領域が見つかった
・これが人間の「細やかな運動のコントロール」に関連していると考えられるが、はっきりしたことは分かっていない

神経科学者ジョージ・パキシノス氏率いるNeuroscience Research Australia (NeuRA) の研究チームが、人間の脳内に「隠された領域」を発見しました。脳の底に位置するその領域は、脳と脊髄が交わる部分の近くに存在しており「endorestiform nucleus」と名付けられています。

Human Brainstem 1st Edition Cytoarchitecture, Chemoarchitecture, Myeloarchitecture

https://www.elsevier.com/books/human-brainstem/paxinos/978-0-12-814184-7

人間の「姿勢」に関連する「下小脳脚」と呼ばれる領域では、脳が知覚や運動からの情報を得て、体がバランスを保つための働きをしています。つまり下小脳脚は、脊髄や脳幹から流れてくる情報を小脳へと運ぶ「川」のような役割をしています。そして今回発見された領域 endorestiform nucleus は、その川に浮かぶ神経の「島」に例えることができます。

パキシノス氏は、自身による最新の神経解剖学図表の作成のために比較的新しい脳のイメージング技術を用いて、脳組織をよりクリアにみることで endorestiform nucleus の存在を確認しました。その技術を使えば、ニューロンのグループを「機能別」で分類することが可能となります。

endorestiform nucleus の存在は、その技術におけるマッピングにおいて「明らかなもの」とされました。その領域において非常に濃い密度のアセチルコリンエステラーゼが確認されたのです。パキシノス氏は以前からこの領域の存在のヒントを得ていましたが、今回これまで見つけられなかったその存在があまりにもはっきりと現れたために、「自分が endorestiform nucleus を見つけたのではなく、endorestiform nucleus が自分を見つけ出したようなものだ」と表現しています。

この構造が、キヌザルやアカゲザルなど他の動物においてまだ確認されていないことから、パキシノス氏はこれが人間の細やかな運動のコントロールに関係していると考えています。パキノシス氏は、「いかに音楽を作るのが好きであろうと、チンパンジーが私たちと同じように器用にギターを弾くことはイメージできません」と語り、私たちの「器用さ」が endorestiform nucleus に由来していることを示唆しています。

パキシノス氏は今後、この新たな技術を用いて人間の脳を徹底的に調べ上げ、種をまたいだ比較をすることで、今回の発見に関する理解をさらに深めていく予定です。

 

人の脳にだけ存在する神経細胞を特定

 

via: sciencealert / translated & text by なかしー

 

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