国際宇宙ステーションで潜在的危険性を持つ細菌が発見される

space 2018/11/26
Point
・ISS(国際宇宙ステーション)内で、「エンテロバクター」という細菌が5株発見された
・「エンテロバクター」は健康な成人には無害だが、新生児や免疫力の低下した人には感染症状を引き起こすことがある
・「エンテロバクター」が宇宙空間においてどのような反応をするか不明であるため、乗組員の健康へ影響を及ぼす可能性もある

ISS(国際宇宙ステーション)にて、「エンテロバクター」という細菌が発見され、宇宙飛行士たちの健康に被害が出ないかどうかが懸念されています。

今回発見された「エンテロバクター」を調査したところ、地球上で日和見感染を起こした病原体に似ており、免疫力の低下した人には病気を引き起こす可能性があることがわかりました。そのため、専門家は、宇宙空間にいる乗組員にとって「エンテロバクター」が潜在的な脅威になっていると指摘しています。詳細は“BMC Microbiology”にて掲載されています。

Multi-drug resistant Enterobacter bugandensis species isolated from the International Space Station and comparative genomic analyses with human pathogenic strains
https://bmcmicrobiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12866-018-1325-2

2015年の3月に宇宙ステーション内のトイレや運動施設から採取されたサンプルを調査した結果、ISSから「エンテロバクター」が5株検出されました。カリフォルニア工科大学のジェット推進研究所に所属する研究員たちは、ISSの「エンテロバクター」の種類や遺伝子を調べるために、地球上で入手することのできるエンテロバクターのゲノム1291個と比較を行いました。

すると、ISSで発見された5株のエンテロバクターは、地球上で新たに発見された3つの株に類似していることが判明しました。これら3つの株はすべて「エンテロバクター・ブガンデンシス」と呼ばれる1種類の細菌内に属しています。「エンテロバクター・ブガンデンシス」は、新生児や免疫力の低下した患者には病気を引き起こすそうで、現在、東アフリカとワシントン、コロラドにある3つの病院で感染症状が確認されています。

また、地球上の病院で確認されたエンテロバクターは、抗菌薬への耐性を持っていることも分かっています。そこで、研究者たちが、ISSで検出されたエンテロバクターを調べたところ、地球上のものと類似した抗菌薬耐性を持っていたことが新たに判明しました。この事実は、閉鎖された宇宙空間では迅速な医療措置が困難なため、将来のミッションにおける不安要素のひとつとなっています。

しかし、研究者によると、ISS内で発見されたエンテロバクターは今のところ有害なものではなく、人に対して脅威となる可能性もきわめて低いとのこと。ただし、今後の監視対象となることは間違いなく、ISSで発見されたエンテロバクターには、病原性に関連する遺伝子が112個含まれていたことも分かっています。いまだ無害であるとは言え、研究者たちがコンピュータ解析を行ったところ、潜在的に有害な細菌となる可能性は79%もあるそうで注意が必要です。

専門家の説明では、ISSのエンテロバクターが有害なものとなるか否かは、細菌が属する環境状態にかかっており、無重力空間の宇宙では細菌がどんな反応を見せるかは予測できません。ISSのエンテロバクターが、宇宙ステーションや宇宙船の中で有害性を持つようになるかは今後も研究が必要だとのことです。

 

しかし宇宙空間では、エンテロバクターが恐ろしい突然変異を起こす可能性もゼロではありません。もしかしたら、映画『ヴェノム』に登場する寄生生物「シンビオート」のように意識を持ち、乗組員に寄生することもなきにしもあらず…。そうならないために、いち早く研究が進むことを祈りましょう。

 

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via: eurekalert / transleted & text by くらのすけ

 

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