・今年2月に観測された超新星ASASSN-18btの爆発が、予想外の光のパターンを示すことが判明
・通常は超新星は光を緩やかに増大させていくが、ASASSN-18btは予期しないような光の放出を示した
・予期しない光の放出は、超新星爆発の際に生じる放射性物質の拡散に関係している可能性も
巨大な質量を持つ恒星がその一生を終える時に起こす「超新星爆発」。その威力は壮烈で、爆発時に放出されるエネルギーは太陽の数億倍に達するほどです。
カーネギー研究所の国際チームが今年2月に観測した超新星爆発が、爆発開始から数時間でこれまでに観測されたことがない予想外の光のパターンを示すことが判明し、注目を集めています。超新星は”ASASSN-18bt”と名付けられ、一連の記事が”The Astrophysical Journal ”に掲載されました。
https://arxiv.org/abs/1807.11526
https://arxiv.org/abs/1811.10061
https://arxiv.org/abs/1807.07576
la型超新星は「明るさが一定」という特性をいかし、宇宙にある物体同士の距離を測る物差しとして用いられてきました。しかし標準光源としてよく使用されるにもかかわらず、la超新星の爆発を引き起こす実際のメカニズムはこれまで明らかにされていませんでした。このため、実際に爆発の様子が観測されたことは大きな意味を持ちます。
爆発の瞬間を観測したのは、オハイオ州立大学が管理する超新星全天自動サーベイ”ASAS-SN”。同時に、NASAの探査機ケプラーもこの様子を撮影し、爆発の過程を詳細に捉えました。ASASSN-18btは地球からもっとも近く、明るい超新星なので、超新星の形成についての一般理論を確認するには絶好の機会です。
ASAS-SN、ケプラー、その他の望遠鏡が捉えたデータをすべて総合した結果、誕生から数日間でこの超新星が奇妙な様子を見せることに科学者たちは気づきました。通常、超新星は光を緩やかに増大させていきますが、ASASSN-18btは予期しないような光の放出を示したのです。
la型超新星は、白色矮性(太陽のような惑星の核燃料が消失した後に残った芯)が熱核反応爆発を起こすことで誕生します。近くの星から白色矮星に物質が加えられることで爆発が生じますが、具体的なメカニズムは解明されていません。
観測後まもなくは、ASASSN-18btが放出した奇妙な光は、白色矮星が近くの星と衝突する際に生じたものだと考えられていました。ところがその後、爆発の際に生じる放射性物質の拡散に関係している可能性が浮上しました。これは、最近提唱されたla型超新星には2つのタイプ(初期に放出を示すタイプと、示さないタイプ)があるという仮説を裏付ける証拠になります。
望遠鏡の活躍により、ますます多くの超新星爆発の瞬間を捉えることが可能になっています。集められた貴重なデータの詳細な分析を通して、超新星爆発に関する長年の謎が解明される日は間近かもしれません。
via: carnegiescience / translated & text by まりえってぃ