ほとんどがボランティア?ハリウッド「科学アドバイザー」11の秘密

culture 2019/01/02
Credit: AMC

数多くの映画やテレビ番組が誕生するハリウッド。この街で科学アドバイザーの職を見つけることはなかなかに難しいことです。

彼らの仕事は、作品を科学的観点から現実的にありそうなものにするためのアドバイスを行うこと。戦闘シーンの物理法則から、登場人物が黒板に書きなぐる数式に到るまで、彼らの助言を必要とする場面は幅広く存在します。

科学アドバイザーは、普段は物理学、天文学、化学といったそれぞれの分野で活躍している科学者が務めます。科学アドバイザーに関する秘密をいくつかご紹介しましょう。

1. ほとんどが無償ボランディア

ハリウッドの科学アドバイザーの多くが、無償で仕事を引き受けます。これは、作品の規模や予算にかかわらず当てはまること。その理由の一つは、科学者が、科学のコミュニティーの役に立つことを目標にしているからかもしれません。

2. オタクには依頼が舞い込む可能性も

作品のファンであり、科学に詳しいことを世間に向けて自ら発信することで、科学アドバイザーのオファーが舞い込むという幸運に恵まれる人もいるようです。カリフォルニア大学アーバイン校で宇宙素粒子物理を研究するソフィア・ギャドナスル氏は、テレビシリーズ”12 Monkeys”のファンの一人で、SNSに番組の感想を投稿しました。「この番組が好きで、それについてツイートしていたら、番組製作者が私に連絡をくれ、科学アドバイザーを必要としていることを伝えてきたのです」と語っています。

3. 作品に関する秘密の漏洩はご法度

科学アドバイザーは、製作中の作品に関する情報に触れます。そして当然ながら、これらの情報を周囲に漏らすことは決して許されません。製作者側と秘密保持契約をしっかりと交わした上で、仕事に臨みます。

4. 24時間体制

科学アドバイザーは、通常の労働時間を期待することはできません。撮影中に科学的な疑問が生じると、製作者は日中だろうと夜中だろうと構わずに科学アドバイザーに連絡を取ります。質問のメールにいかにすばやく反応するかがとても重要です。限られたスケジュールの中で撮影を行う製作者は、すぐに回答が得られなければ、科学の問題は無視して撮影を続行するまでなのです。

5. 俳優に直接助言することも

科学アドバイザーは主に、ライター、プロデューサー、監督と一緒に仕事を行いますが、時には出演者と面会することもあります。研究室の実際の雰囲気などについて直接助言を与えることが、演技にリアリティを与えます。

6. 科学者役に人間らしさを吹き込む

作品には科学者役の人物が登場する場合があります。こうした人物が、特定の場面でどんな言葉遣いをし、学生や同僚とどのようにしてコミュニケーションを取るかについて、科学アドバイザーが助言を行います。

たとえば、ともに科学の道を志してきた二人の科学者A・B両氏のうち、A氏はノーベル賞を受賞し、B氏は高校教師になる作品があるとしましょう。「彼らが辿る道を分けた出来事があるとしたらそれはどんなものか?」という問いに対し、科学アドバイザーは一人の女性だと答えるかもしれません。

A氏がB氏の恋人を奪い去ったとしたら、B氏は打ちのめされるはずです。本物の科学者が助言を行うことで、科学者役の人物にいかにも人間らしいリアリティが吹き込まれます。

7. 黒板は要チェック

教授や科学者、数学者などが黒板の前に立つ場面が描かれる作品では、そこに記された数式が意味の通じるものである必要があります。

時には、数式のチェックに数日を要することもあるそうです。反対に、ナンセンスな事柄ばかりが書かれた黒板は、作品に科学アドバイザーが使われていないことを示すサインでもあります。

8. 科学アドバイザーの助言でシナリオ変更も

科学アドバイザーの助言のほとんどは、ちょっとしたセリフの変更などにしか影響しませんが、時には場面の大幅なカットに繋がることも。

たとえば、映画『マイティ・ソー』では、円盤型の惑星から登場人物たちがお互いを突き落とし合う場面について、科学的に筋が通らない(円盤型の惑星では、重力が中心に向かって働く)という理由で、科学アドバイザーが反対しました。

9. ただし、変更は最小限

細かい科学的要素を巡って、科学アドバイザーと製作者の間では時に議論が交わされることもありますが、最終的には科学アドバイザーが製作者側に道を譲ることがほとんどです。

たとえば、用語の使い方が間違っていた時に、正しい用語に変更しようとする時も、用語の頭文字や長さができるだけ変わらないように…といった細やかな心遣いを配ることもあるのだとか。最後は、作品づくりのプロに敬意が払われるということですね。

10. アドバイスが常に受け入れられるとは限らない

科学アドバイザーの助言にいくら感謝していたとしても、製作者が物語の筋書きよりも科学を重視するケースはごく稀です。物語を差し置いてでも科学的に100パーセント正確であろうとする作品はほとんど存在しません。

たとえ、ある化学物質が作品中で、現実にはありえない色で描かれていても、それは物語の進行においてどうしてもその色である必要があったからです。エンターテイメントの世界では、最終的には「物語>科学」なのです。

11. 科学アドバイザーの需要は成長中

ほんの十年ほど前まで、映画やテレビ番組の製作に科学アドバイザーが加わることは稀でした。

ところが今や、些細な科学関係のテーマであっても科学アドバイザーに助言を求めることは、エンターテイメント業界のスタンダードです。米国科学アカデミーが運営するエンターテイメント業界とプロの科学者やエンジニアをつなぐサービス”The Science & Entertainment Exchange“は、その現れの一つでしょう。

何がもっともらしいかを理解している賢い視聴者が増えた現在、筋が通った物語を求める人々の声に答えることが求められています。

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via: mentalfloss / translated & text by まりえってぃ

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