MITがつくる人工シナプス!物理的な脳チップが開発中

science_technology 2018/01/23

量子コンピューターや人工知能などの進化が目覚ましい昨今。しかし画像の認識や柔軟で並列的な情報処理能力の問題となると、人の脳にはかないません。

MITの研究者たちが現在、人工のシナプスを開発中とのこと。今回紹介するのは、将来人間の脳のように働くコンンピュータチップに関する技術です。

Engineers design artificial synapse for “brain-on-a-chip” hardware
http://news.mit.edu/2018/engineers-design-artificial-synapse-brain-on-a-chip-hardware-0122

フットボールの大きさの器官の柔らかな組織には、1千万かそこらの神経細胞が詰まっています。いつ何時も、一個の神経細胞は、シナプスを介して、何千もの他の神経と命令をやり取りしています。シナプスとは、神経伝達物質を神経間で交換するすき間のことです。100兆を超えるシナプスが存在し、脳内で神経シグナルの仲介をしています。この時、ある接続は強化され、ある接続は切り捨てられることで、脳がパターンを認識したり、物事を覚えたり、その他の学習過程を行ったりします。そのスピードは光の速さです。

「ニューロモーフィックコンピューティング(neuromorphic computing)」と呼ばれる新しい分野の研究者たちは、人間の脳のように働くコンピューターチップを設計しようと試みてきました。現存のコンピューターのようにゼロかイチかの情報を元にしたものに代わって、「チップ上の脳」の基本構成単位は、アナログ方式で働きます。勾配あるいは「重み」のあるシグナルを伝達し、神経と同じようにシナプスを流れるイオンの数やタイプに応じて、様々な方法で活性化します。

このようにして、脳と同じように、小さな神経形態的チップは何百万もの計算のストリームを同時に効率的に処理しえます。現在のところそれができるのは多数のスーパーコンピューター使った場合だけです。しかし、こういった携帯人工知能へと至るための大きな障害のひとつがシナプスであります。ハードウェア中にシナプスを再現するのはとても難しいのです。

Credit:http://news.mit.edu/

現在、MITの研究者達はシナプスを通した電流の強度を正確にコントロールできるような人工シナプスを設計しています。それは、神経のシナプスがイオンの流れをコントロールする様に似ています。この研究チームは人工シナプスを持った小さなチップをシリコンゲルマニウムから作りました。シミュレーションによってテストしたところ、このシナプスにより手書き文字の認識テストで95%の正確度を達成しました。

Nature Materialsに発表されたこのデザインは、パターン認識やその他の学習タスクに使える、小型で省電力なニューロモーフィックチップを組み立てる大きな一歩となるでしょう。

今回の設計の前段階として、シナプスとして働く2つの伝導レイヤー間の「スウィッチ媒体」にアモルファスな(不定形な)媒体をつかいました。しかしこの素材だと、導体間の経路がその度ごとに複雑な経路をとり、一定しないため非常に扱いにくいものでした。

 

Credit: Pixabay

そこで、代わりに単結晶シリコンを使うことにしました。単結晶だと経路が単純になり予測しやすくなります。実際の人工シナプスとして利用できそうな単結晶の組み合わせとして、シリコンゲルマニウムを用いました。この組み合わせで経路が漏斗状になり安定します。このシナプスを含むニューロモーフィックチップを作り、手書き文字認識テストを行い、パターンによる出力の違いのデータを取ってシミュレーションしたところ、95%の正確さでパターンを認識できたのです。

次の課題は、シミュレーションではなく、実際に機能するニューロモーフィックチップのハードウェアを使って、認識テストをすることです。

 

via: MIT News/ translated & text by Nazology staff

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