ブラックホールの周りにできる「ドーナツ」、実は「噴水」だった?

space 2018/12/09
Photo credit: NASA Hubble on Visual Hunt / CC BY
Point
・銀河の中心、超大質量ブラックホールを取り巻くガスや塵によって、ドーナツ構造ができると考えられている
・ALMAによるコンバス座銀河の観測と、物理法則を元にしたシミュレーションによって、ドーナツができる仕組みが明らかになる
・ドーナツは、円盤状に回転しながら落ちるガス、周辺で吹き出す熱いガス、ガスの円盤への落下の3段階でつくられ、まるで噴水のような構造

アタカマ・ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)による観測とシミュレーションから、活動的な超大質量ブラックホールの周りにできるガスのリングは「単純なドーナツ型にはならない」と判明しました。ブラックホールに落ち込むガスと、中心から放出されたガスがダイナミックな円環を作って、広場の噴水のようになっているというのです。

研究は日本の国立天文台を中心にして行なわれ、“The Astrophysical Journal”に掲載されています。

Circumnuclear Multiphase Gas in the Circinus Galaxy. II. The Molecular and Atomic Obscuring Structures Revealed with ALMA
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aae20b/meta

銀河の中心には太陽の何百万倍も何十億倍も大きな超大質量ブラックホールがあります。そういったブラックホールの中には、活発に物質を飲み込んでいるものもあります。しかし、そういった物質の多くは、ブラックホールに直接取り込まれるよりも、周囲にドーナツ状の構造をつくると研究者は考えています。

国立天文台の泉拓磨特任助教らは、ALMAを使って1,400万光年にあるコンパス座銀河の超大質量ブラックホールを観測しました。その観測結果をスーパーコンピューター「アテルイ」で計算した、ブラックホールに落ち込むガスのシミュレーションと比較したのです。比較の結果、仮定された「ドーナツ」が実際は固定された構造ではなく、高い流動性を持ったガス状成分の複雑な集合体であることが分かったのです。

Credit: 国立天文台

「噴水」の形成過程は、まず冷たい分子のガスがブラックホールに向かって落ちることで、回転軸に対する平面付近にできた円盤となります。そしてブラックホールに近づくにつれて加熱され、ガスは原子とイオンの混合体となります。原子となったものの一部は、ブラックホールに落ち込まずに、円盤の上下に吹き出すジェットとなり、この熱い原子のガスが降下して再び円盤に戻ることで、荒れ狂う3次元の構造ができあがるのです。これら3段階が継続することで、この3次元構造物は、広場の噴水に似たものとなります。

「以前の理論モデルでは、ドーナツ構造を先に推測して演繹的に説明するものでした。推測を元にするよりも、私達は物理方程式からシミュレーションを始め、ガスの円環が自然にドーナツを形成することを初めて示したのです。私達のシミュレーションは、観測された他の様々な特徴をも説明できます」と、シミュレーションを行った鹿児島大学の和田桂一教授は述べています。

ALMAでの観測をおこなった泉教授は、「この発見を元にして、天文学の教科書を書き換える必要がある」と、述べています。

 

ブラックホールにドーナツ構造ができることは、推測されていましたが、今回の研究によってその構造・運動・成り立ちが初めて明らかにされました。夜空の向こうには、たくさんの宇宙規模の噴水が隠れているのですね。

 

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via: Science Daily/ translated & text by SENPAI

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