核融合の研究に革新をもたらす「部品の検査法」を開発

technology 2018/12/08
Credit: Llion Evans, Swansea University
Point
・核融合炉では、融合のための高い温度と閉じ込めのための磁場の形成のために、極端な温度勾配ができる
・そのため過酷な環境に耐えられるだけの、耐久性のある部品の開発が一つの障害となってる
・開発や検査につかえる、X線と中性子による非破壊的な断層撮影技術のテストが行なわれ成功した

太陽や恒星のエネルギー源である、「核融合の動力化」が実現に近づいています。

2種類の画像化技術によって、融合炉で使う部品の安全性や信頼度を評価できることが示されたのです。

マックスプランク研究所やスウォンジ大学を中心とした研究チームが、部品の耐久度をテストするために、X線と中性子による画像化を組み合わせました。2つの方法によって得られた貴重なデータは、様々な部品を組み立てるのに利用できます。研究は、“Fusion Engineering and Design”で発表されています。

Comparison of X-ray and neutron tomographic imaging to qualify manufacturing of a fusion divertor tungsten monoblock
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0920379618305374?via%3Dihub

実際に動いている核融合の例の1つは、太陽です。太陽の中心の極端な高圧と高温において、原子は互いに融合し、巨大なエネルギーを放出します。何十年もの間、科学者たちは安全で炭素を消費しない実質無限のエネルギー源を動力化する方法を探してきました。

これまで一番の大きな障害となっていたのは、融合炉で使う部品が、太陽の中心温度の約10倍といった極度な高温に耐えられなければならないということでした。

核融合の主要な試みの一つである、「磁場閉じ込め方式」では、地球上、あるいは宇宙においても最大の極端な温度勾配を持つ融合炉が用いられます。プラズマの温度は1億5千万℃に達する一方で、その数メートルの距離には-269℃の環境が併存します。

よって、このような極端な環境下で機能しなければならない構成部品の耐久度を、非破壊的に検査する方法が求められているのです。

そこで研究チームは、重要な部品の一つである「モノブロック」と呼ばれる冷却材を通す管に焦点を当てました。新しいタングステン製モノブロックのデザインが、CTによって画像化されたのは初めてです。また、ISISニュートロン・ミューオンソースを線源とした、中性子画像化装置“IMAT”での画像化も行いました。

Credit: Llion Evans, Swansea University

この2つの方法には、それぞれ利点があります。中性子による画像化は、X線のものよりもタングステンへの浸透度が高いという利点があります。よって、多くのタングステンを含んだサンプルの画像化も可能となっているのです。また、中性子断層撮影法によってモノブロック全体を非破壊的に、調べたい場所のサンプルを作る作業を伴わずに、検査することもできます

これらの新しい方法は、現在概念実証段階ですが、将来的には、研究にも部品の開発サイクルにおいても使われ、部品の質を上げるために役立つでしょう。

研究の次の段階は、この強力な技術によって得られた貴重な立体データを使って、微小サイズまで再現できるシミュレーションを作ることです。イメージベース有限要素法(IBFEM)と呼ばれるこの技術によって、各部品の能力を個別に評価できるようになり、製造過程で起きた設計からの小さな逸脱を見つけることができるようになります。

 

夢のエネルギー核融合を実現するため、研究者たちのたゆまぬ努力は続きます。今回紹介した研究は、部品の検査法における一つの革新といえるでしょう。このような製造現場での地道な革新によって、新しい技術は実現に近づいていくのです。

 

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via: Phys.org/ translated & text by SENPAI

 

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