ケプラー望遠鏡が最後の大仕事。超新星爆発の「初動」とらえていた

space 2018/12/12
Credit: NASA
Point
・NASAのケプラー宇宙望遠鏡が、超新星爆発を開始直後に観測することに成功
・見つかった超新星爆発は、かに座の渦巻銀河UGC 4780で見つかり、SN 2018ohと名付けられる
・La型の超新星爆発であったことから、正確な距離を求めることができ、ダークエネルギーの研究に役立つ

NASAのケプラー宇宙望遠鏡が、1億7千万年前の星の爆発をとらえていました。

質量の高い星が死に近づくと、超新星爆発という爆発を起こして明るく輝き、星の持っていた物質が撒き散らされます。退役したケプラー望遠鏡と、地上の望遠鏡による協力で、2018年2月4日に、SN 2018ohと名付けられた超新星爆発の光が観測されました。研究成果は、第3報の論文でまとめられ『The Astrophysical Jounal Letters』と、『The Astrophysical Jounal』に掲載される予定です。

K2 Observations of SN 2018oh Reveal a Two-Component Rising Light Curve for a Type Ia Supernova
https://news.ucsc.edu/2018/11/kepler-supernova.html

NASAによると、超新星爆発の始まる極初期段階で、ケプラーが光度のわずかな変化を観測すると同時に、地上の望遠鏡が色や原子構成の変化を追跡しました。

「複数の望遠鏡のデータを組み合わせることで、天文学者たちが長らく待ち望んでいた、超新星爆発初期の前例のない観測を得ることができた」とNASAは声明で述べています。

SN 2018ohは、かに座にある渦巻銀河UGC 4780の中にあります。超新星爆発のタイプとしては、La型に分類され、光が徐々に弱くなるまでの3週間、明るく輝くのが典型です。

しかし、今回の超新星爆発が見つかったのは爆発開始のたった2〜3日後で、通常の超新星爆発が光度最大になる時点よりも3倍速く輝き出しています。地上の望遠鏡は青い光を観測しており、この超新星爆発が極めて熱いことが示されています。

また、La型超新星爆発は、最大輝度が一定になるため距離を求める基準となります。そのため、宇宙を膨張させているダークエネルギーの研究に使えるのです。チリにあるセロ・トロロ・汎米天文台のダークエネルギーカメラなどの機器で観測が行われています。

今回の超新星爆発のメカニズムについては、2つの説があがっています。1つは、連星系の白色矮星(終末期の恒星の形態の1つ)が、伴星(連星のもう一方)から物質を吸い上げることで質量を増して内部爆発したというものです。爆発の衝撃波が伴星とぶつかることで極度な高温が観測されます。

もう1つの説は、爆発を起こした物質の外層にニッケルの層があったというもの。どちらの説が正しいかは、さらなるLa型超新星爆発の観測が必要になります。仕組みがわかれば、宇宙の膨張スピードの正確なモデルを作ることが可能になると考えられています。

ケプラー宇宙望遠鏡は、燃料を使い果たして10月30日に引退するまでに、40個もの超新星爆発候補を発見しています。

 

星が一生の終わりに有終の美を飾る超新星爆発ですが、爆発によって撒き散らされた物質は次なる星の材料になります。私たちを形作っている原子も、すべて超新星爆発で撒き散らされた物質に起源があります。そう考えると、超新星爆発の初動をとらえた今回の観測は、新たな生命の始まりの瞬間をとらえた、ということになるかもしれませんね。

 

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via: Space.com/ translated & text by SENPAI

 

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