「腸」が脳の機能を補完していることがわかる

science_technology 2018/01/26

動物の本体は、実は消化器官なのかもしれません。

脳が小さい動物が驚くほど複雑な行動をするのはなぜでしょうか。その理由として、腸と空腹感が記憶のような働きをして脳の機能を補完しているという可能性を、コンピューターモデルで検証した研究が発表されました。

Credit: CC0 Public Domain

最近の研究によると、人を含む動物は、ただ「胃の中にどれだけ食べ物が入っているか」によって、驚くほど正しい選択ができるのです。

Trust your gut: using physiological states as a source of information is almost as effective as optimal Bayesian learning

http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/285/1871/20172411

エクセター大学で行われた研究では、複雑で危険な条件で生き延びるのに、高い脳機能は必要ありません。

その代わりに、どれだけお腹が減っているかといった、体の状態に敏感であるべきであるようです。

空腹感は過去に食物が得られたといったある種の記憶として働き、どういった状況が今の状況と似通っていたかを教えてくれます。

エクセター大学のアンドリュー・ヒギンソン博士が率いるチームは、コンピューターモデルを使って、食物の供給量が不確かで、その環境中に捕食者がいると言う条件で、どのように行動すれば生存率を最大化できるかを予測しました。

このモデルにより、今現在のエネルギー量だけにもとづいて決定を下す動物の生存期間は、脳を使って最適な答えを計算するものとほぼ等しいことがわかったのです。

Credit: CC0 Creative Commons

ヒギンソン博士は言います。「多くの人は時々空腹になりますが、その時、空腹感によって感情的になったり行動を変えたりします。私たちのモデルは、なぜ腸と決断の間につながりがあるのかを説明しています。空腹は記憶として働くことができ、まわりに食べ物がないことを教えてくれるのです。野生環境でこれに反応することは重要です。この種の記憶が実用的なのは、実際にはただ腸の情報に従っているだけなのに、脳でとても多くの情報を処理しているように行動できるからです」

ある体内の状況は、過去の成功体験を教えてくれ、明日はどのように行動すべきかの有用な指針を与えてくれます。

この単純で生理的な形の記憶は、とても多くのエネルギーを消費する脳へリソースを回すことを避けるのに役立っているのかもしれません。

Credit: CC0 Creative Commons

ブリストン大学のSchool of Mathematics学部のジョン・マクナマラ教授とそのチームは言います。「もし賢くなることに多くのリソースが必要なら、自然選択により決断する際によりコストのかからない方法が選ばれてきた可能性があります。

空腹を記憶として使うような能力は、大きな脳を進化させる必要性を下げるでしょう」

単純な記憶がまた、感情といった他の生理的状態に符合されるかもしれないという可能性をこの発見は提起しています。

危険を感じた後に落ち着きを取り戻すのに時間がかかるのはそのためかもしれません。危機が再び起こるかもしれないので、感情が身体を「戦うか逃げるか」を準備した状態に留めるのです。

Credit: CC0 Creative Commons

その「記憶」としての実用性が、人や他の動物が感情を持っている理由である可能性を研究者たちは提案しています。

そしてこの研究には、環境保護の意味合いもあります。

「私たちのモデルの中の動物たちは、体の状態を合図として使うことで環境条件が突然変化した時にも、うまくやることができています。予想よりも気候変動の影響に対処できるかもしれない種もいることをこの結果は示唆しています」

 

via: Phys Org/ translated & text by Nazology staff

SHARE

science_technologyの関連記事

RELATED ARTICLE