まるでブルーベリー!?地球と火星の球状鉄コンクリーションの形成メカニズムを解明!

geoscience 2018/12/09

Point
・地球と火星で「鉄コンクリーション」と呼ばれる塊が発見されており、形や組成が似ている
・火星には二酸化炭素があり温暖湿潤な環境だったと考えられているが、火星表層に炭酸塩がほとんどないこととこの考えは合わず、火星の謎とされてきた
・今回「鉄コンクリーション」の成因が明らかとなり、火星の謎が初めて解明される可能性がある

地球と火星の地層に含まれる「鉄コンクリーション」の成因が解き明かされ、火星の環境変遷の謎を解く手がかりを得ました。研究は、名古屋大学博物館の吉田英一教授らの共同研究グループによる主導で、11月5日付で雑誌“Science Advance”に発表されています。

Fe-oxide concretions formed by interacting carbonate and acidic waters on Earth and Mars
http://advances.sciencemag.org/content/4/12/eaau0872/tab-pdf

鉄コンクリーションとは砂の塊を鉄が覆ったもので、地質中にみられます。地球と火星で発見されたものは、数ミリから数センチの数珠玉のくらいの大きさです。

元々地球にあった鉄コンクリーションは下の写真のようなもので、アメリカ合衆国ユタ州の砂漠で発見されていました。

Credit: NASA / 大きさ比較のためか、ハンマーが一緒に置かれている

火星にある鉄コンクリーションはNASAの火星探査車によって発見された粒で、その形から「ブルーベリー」と名付けられています。

下の写真がその鉄コンクリーション。確かにブルーベリーにも見えてきます。今回の発見によりこのブルーベリーが、火星の環境の変遷を記録している可能性も示されました。

Credit: NASA / 火星メリディア二平原の地層中にみられる球状鉄コンクリーション

また、吉田教授らの研究グループはモンゴルの地層からも鉄コンクリーションを発見しています。

地球と火星の鉄コンクリーションは形や組成が似ているので、長い間その成因について議論されていました。吉田教授らがモンゴルで調査した結果、鉄コンクリーションがもともとは炭酸カルシウム(カルサイト)の塊であったとわかりました。この炭酸カルシウムの塊が見つかった地層には酸性の地下水があり、鉄分を溶かしていました。この地下水と炭酸カルシウムとで中和反応が起き、炭酸カルシウムの表面を鉄が覆ったと考えられるのです。

Credit: 名古屋大学

さらに、火星の地質学的な証拠と比較してみると、ブルーベリーのでき方も地球の鉄コンクリーションと同じで、もともとは炭酸塩であった可能性が高いこともわかりました。

これまでのNASAの調査によると、40億年前の太古の火星には二酸化炭素の厚い層があり温暖湿潤な環境だったとのこと。そこから考えると、地球上と同じように炭酸岩塩ができているはずですが、実際には火星表層には炭酸塩がほとんどありません。このことは火星の謎のひとつでした。

今回の発見は、この火星の謎の解明につながる初めての地質証拠にもなります。太古の火星にも酸性の流体があったことはすでに知られており、あったはずの炭酸岩塩が、酸性の流体によって溶けてしまったと考えられるのです。

2020年には新しい火星探査車が送り込まれ、火星からサンプルを持ち帰ることがNASAで計画されています。酸性の流体が少ない場所を調査する予定なので、炭酸塩岩が発見されるかもしれません。そうなれば火星の鉄コンクリーションも、地球の鉄コンクリーションと同じ成因であるとはっきり証明されるかもしれません。

 

鉄コンクリーションの材料にもなっている炭酸カルシウム(カルサイト)の塊は、パワーストーンとしてブレスレットなどに利用されています。もしかすると、カルサイトの石から火星のパワーを感じられるかも…?

 

火星に「太古の生命体」の可能性? NASAが多種の有機物を発見と発表

 

via: nagoya-usciencemag / translated & text by かどや

 

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