ちょっと迷惑!?緊急時に大人におぶさるアブラムシの幼虫

science_technology 2018/12/10
Credit: STAV TALAL
Point
・エンドウヒゲナガアブラムシの幼虫が、成虫の背中におんぶしてもらうことで危険から身を守ろうとすることが判明
・幼虫は自力で移動するよりも、大人におぶってもらった方が4倍も速く安全な場所に移動できる
・ほとんどの成虫は、血縁の有無に関係なく、背中に乗ろうとする幼虫を振り落そうとする

体長3.8〜4.2mmほどのエンドウヒゲナガアブラムシ。その幼虫はさらにミニサイズで、ほんのちょっとの危険が命取りになりかねないか弱い存在です。

そんなエンドウヒゲナガアブラムシの幼虫が、成虫に「おんぶ」してもらうことで危険から身を守ろうとすることが判明しました。背中にしがみ付こうとする幼虫の姿には「なんとか生きのびよう」という生存本能がにじみ出る一方で、自分自身でさえ命からがらという時、幼虫に背中に乗られた成虫の「はた迷惑」そうな様子もうかがえます。

牛などの大型動物は植物の葉を食べようとする時、温かく湿った息を吐き出します。その吐息が信号となって、身の危険を察知した数百匹のエンドウヒゲナガアブラムシは、葉の樹液を吸うのを止めて一斉に地面に落ちます。その様子はまるで、エンドウヒゲナガアブラムシの雨が降るようです。

イスラエル・ハイファ大学の生態学者モッシュ・ギッシュ氏らは、地面に落ちたエンドウヒゲナガアブラムシのその後の行動を調べました。すると、「よじのぼり狂乱」とも呼べるような状態の中で「取り乱した」エンドウヒゲナガアブラムシの幼虫が、自らの身の安全を確保するため、成虫の背中によじ登っておんぶしてもらうことで安全な場所に移動することがわかったのです。

Standing on the shoulders of giants: young aphids piggyback on adults when searching for a host plant
https://frontiersinzoology.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12983-018-0292-7

障害物の無い開けた場所に落下した時は、幼虫であっても自分ですばやく安全な場所に移動した方がよっぽど効率が良いのでは、と考えてしまいますが、実はそうとも限りません。開けた場所では、他の外敵に襲われるリスクが高いだけでなく、もし樹液を吸うための他の植物が見つからなかった場合に脱水や飢餓の危険が生じるからです。

ギッシュ氏らが実験室内で行った実験では、自力で移動するよりも、大人に「ヒッチハイク」をした方が、4倍も速くエンドウヒゲナガアブラムシの赤ちゃんが安全な場所に移動できることが分かりました。

また、生後半日にも満たない幼虫でさえ、水滴や成虫の死骸に対してはすぐに興味を失うのに対し、生きて動き回っている成虫にしがみ付こうとすることも判明しました。自分を安全な場所に運んでくれる可能性が高い大人を本能的に探しているのでしょう。

Credit: Kansas State University

さらに、おんぶの相手に血縁関係は関係ないようでした。なかにはおとなしく頭やお尻を低く下げて待つ成虫もいましたが、たいていは、血縁の近さに関係なく、頭やお尻をブンブン振って幼虫をどうにか振り落そうとしていました

ギッシュ氏らの調査では、背負ってくれる成虫をゲットできた幼虫は、最終的にわずか5パーセントだったとのこと。自分の命でさえ危うい非常事態に、大人は自分自身の身を守ることで手一杯なのでしょう。世知辛い世の中です。

エンドウヒゲナガアブラムシが幼虫を背負う様子は過去にも報告されていましたが、それは共食いのためだと考えられていました。ですが実際には、幼虫が成虫の背中を口先で突っつくことはまれで、もしそうだとしても自分が乗っている大人の「味を確かめる」という自然な行動に過ぎないと、ギッシュ氏は考えています。

 

エンドウヒゲナガアブラムシに危険をもたらすものは動物だけとは限りません。少しの雨や微かなそよ風、通行車が飛ばしたちょっとの泥はねでさえ、彼らが生きる「小さな世界」に天変地異をもたらしかねないのです。エンドウヒゲナガアブラムシがおんぶし、おんぶされるユーモラスな姿には、この世を懸命に生き抜こうとする「小さき者たち」のいじらしくもたくましい生命力が満ちています。

 

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via: sciencenews /  translated & text by まりえってぃ

 

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