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不眠症の原因が判明!眠れないのは「街の灯」のせい

2021.01.27 Wednesday

2018.12.10 Monday

Point
・高齢者が発症する不眠症は、夜間に点灯している人工の明かりが大きな原因である
・韓国の調査データによると、光害レベルの高い地域に住む人ほど、睡眠導入剤を使用する傾向が高い
・不眠症は身体の「概日リズム」を狂わし、癌や糖尿病、うつ病の発生リスクを高める

現在、アメリカでは国民の10%以上が不眠症に悩まされており、特に高齢者の間で増加し続けているといいます。アメリカ睡眠医学会の説明によると「不眠症(insomnia)」とは、眠りにつくことが困難で、寝ても短時間で目が覚めてしまい、安定した睡眠が保てない状態を指します。

これまで、なぜ不眠症が起きるのかという明確な原因は特定できていませんでしたが、今回の研究によると、高齢者の不眠症には街の光害問題と密接に関係していることが明らかになりました。研究の詳細は11月15日付けの“ 『Journal of Clinical Sleep Medicine』に掲載されています。

Outdoor Artificial Nighttime Light and Use of Hypnotic Medications in Older Adults: A Population-Based Cohort Study
http://jcsm.aasm.org/ViewAbstract.aspx?pid=31438

研究を行ったのは韓国にあるソウル大学の医療チームで、調査データとして「国民健康保険サービス−国民コホートサンプル(NHIS-NSC)」が2002年から2013年まで実施した結果を使用しています。調査の対象となっているのは、韓国に住む60歳以上の高齢者52,027人で、そのうち60%を女性が占めています。

このデータは「居住区域における光害レベル」と「睡眠導入剤の使用量」の関係性を示すもので、光害レベルの様子は、衛星画像により撮影した光度を各地域にマッピングすることで表示しています。

調査対象者のおよそ22%に当たる11,738人が睡眠導入剤を使用していたのですが、その多くが光害レベルの高い地域に住む高齢者であることが分かりました。さらに、彼らは睡眠薬をよく使用する傾向にあるだけでなく、その使用期間が長期にわたり、一回の投与量が高いのです。

Credit:Light pollution, mapped. (Journal of Clinical Sleep Medicine)

研究を行ったKyoung-bok Min氏は、この結果を受け「夜間に点灯している人工の明かりが不眠症を引き起こしている大きな要因であるのは間違いない」と指摘しています。しかし同時に、光害だけが不眠症の原因であるという絶対的な証拠もないとMin氏は言います。

いずれにせよ、質の良い睡眠の保つことは、肌年齢の維持から心臓病の予防に至るまで、高齢者の健康に必要不可欠なものであるのは間違いありません。

また、光害がもたらすのは不眠症だけではなく、私たちの身体に内蔵されているおよそ24時間周期で変動する身体の生理現象「概日リズム」、いわゆる「体内時計」を狂わせてしまうことにもなります。

夜通しスマートフォンやテレビとにらめっこしてしまうのも、概日リズムを狂わせる一例です。この安定した周期パターンが崩れることは、単に時差ボケを引き起こすだけでなく、癌や糖尿病、肥満体質やうつ病の発症リスクを高めてしまいます。

今回の調査対象となっているのは高齢者の方々でしたが、夜更かしをして体内時計のリズムを乱すリスクが高いのはむしろ若者の方です。夜は有り余るエネルギーを発散させたくなるものですが、おとなしく休息するのが得策でしょう。若い頃に生活リズムを安定させることこそ、後の不眠症に対する最善の予防策です。

スマホの長時間利用は子どもの睡眠時間に「ほとんど影響がない」という研究結果

via: sciencealert , sciencedaily / translated & text by くらのすけ

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