共感能力が高いほど薬物依存が再発しやすくなるという研究結果

life 2019/01/02
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Point
■薬物探索行動を覚えたマウスを回復させ、恐怖を感じている他のマウスを見せた後に行動を観察
■その結果、忘れたはずの薬物探索行動を再発させることがわかる
■恐怖しているマウスに共感することが引き金となって、薬物探索行動が再発したと考えられる

共感は他人の感覚や感情に気づく能力であり、社会交流の上で重要となる鍵です。

しかし、ミネソタ大学による新たな研究で、共感にも有害となりうる効果があることがわかりました。薬物依存から回復した人の再発を促すというのです。

ジョナサン・ジェウィルス博士に率いられた研究グループは、共感とストレス、薬物再利用の間の関係を調べるために一連の実験を行いました。

まず最初に、条件付けによってマウスの集団が、薬物探索行動を覚えるように訓練しました。マウスが置かれたのは、二面ある仕切りの部屋です。仕切りの一方に行くと食塩水を投与され、もう一方に行くとモルヒネが投与されます。数日間のトレーニングを繰り返した結果、マウスは薬物投与とその場所を関連付けました。

次に、二週間にわたって両サイドどちらに行っても食塩水が注射されることで、薬物依存からの回復が模倣されました。

薬物再利用への共感の影響を調べるために、この回復したマウスに恐慌状態にあるマウスを見せ、すぐに仕切りのある部屋に戻しました。回復マウスの恐怖反応を調べるとともに、マウスがどちらの側の部屋を好むかを見ました。

その結果、回復マウスはモルヒネ投与と関連付けられた方の部屋を好んで選択していました。つまり、心理的外傷を及ぼす場面を目撃したことで、薬物探索行動が現れるようになったのです。

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研究者は何匹かのマウスにオキシトシンを投与しました。オキシトシンは社会的結合において重要な働きをするホルモンです。この処置は回復マウスの恐怖反応を増加させました。

結論としては、マウスや可能性としてはヒトも、ストレスを引き起こす場面を目撃することで、感情的に否定的な影響を受け、回復期を過ぎた後でも、薬物探索行動が再発する可能性があるということです。

オキシトシンによる処置は、この反応を悪化させます。つまり、社会的結合あるいは共感は、この行動を引き起こす原動力となっているのです。

これらの発見は共感と薬物依存再発の関係を証明した初めてのもので、オキシトシンがこの反応を強化する役割を持つ可能性をも同時に示しています。

共感によって他人の気持ちがわかることは、その同じ気持ちを疑似体験しているということでしょう。他人の気持ちがわかる人が薬物依存を再発しやすくなるのは、その意味では納得できる結果です。とはいえ、悲劇的な結果でもあります。依存性のある薬物に手を出すのは止めておきましょう。

 

refernce: Science Daily/ translated & text by SENPAI

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