「宇宙空間でも傷つかない」人体部分を発見! 免疫システム「B細胞」はスゴイ子だった

life 2018/12/16
Point
・宇宙空間においてもダメージを受けない人体箇所は、免疫システムにとって不可欠な「B細胞」であると判明
・「B細胞」は、体内に侵入した病原体を撃退するための抗体をつくる働きをする
・さらに「B細胞」は一度撃退した病原体を覚えているため、二度目には病状を起こす前に撃退することが可能

宇宙空間は、宇宙飛行士たちの人体に深刻な影響を与えます。そんな過酷な環境の中で、筋肉は萎縮し、骨密度にも減退が見られ、体のいたるところで異変が起きているのです。

しかし今回の研究によると、宇宙空間のような微小重力にさらされてもまったくダメージを受けない人体の一部が発見されました。

それは「B細胞」と呼ばれており、私たちの免疫系システムには絶対に欠かすことのできないものです。研究内容は、“Journal of of Applied Physiology”上に掲載されています。

B-cell homeostasis is mainteined during long duration spaceflight
https://www.physiology.org/doi/abs/10.1152/japplphysiol.00789.2018

調査を行ったルイジアナ州立大学の研究チームは、23人の宇宙飛行士を対象に、ISS(国際宇宙ステーションステーション、International Space Stationの略)に搭乗する前と最中、そして降りた後を半年以上にわたって観察しています。そして宇宙飛行士たちの血液サンプルを採取しました。すると、2〜3ヶ月もの長期的な宇宙滞在にもかかわらず、彼らの「B細胞」には何の悪影響も見られなかったのです。

「B細胞」とは、白血球の一種で体内に侵入してきた細菌を撃退するために必要な抗体をつくりだす働きをする細胞です。それぞれ一種類ずつしか抗体をつくりだすことができないのですが、抗体遺伝子の組み合わせを変えることでおよそ1億種類以上の抗体をつくりだすことができます。

また「B細胞」は、1度反応した病原体を覚えておくことができるため、次に同じ病原体が侵入してきたら即座に撃退に向かうことができるのです。これは「2度なし現象」と呼ばれており、予防接種などに応用されています。これは驚くべき発見であり、宇宙空間にいても私たちはバクテリアやウイルスに対抗することができることを証明しているのです。

ただ同研究チームのギローム・シュピルマン氏は、病原体以外にも免疫システムにダメージを引き起こす要因はいくつかあると言います。例えば、長期にわたる宇宙フライトは精神的なストレス水準を高めますし、宇宙空間に漂う放射能にさらされることで免疫システムは悪影響を被るでしょう。

また、宇宙空間の微小重力によって免疫システムは混乱をきたすことが知られており、例えば体内にあるいくつかの免疫細胞は不活性化し、別の細胞は活発になりすぎるということが報告されています。

ほかにも、微小重力は体内の水分を頭部に上りやすくさせますし、宇宙に放出されている太陽光によって、がん発症のリスクも大幅に増加します。それだけでなく、私たちの健康を維持するために一番効果的である「運動」「食事」「睡眠」の質は、宇宙空間にいることで圧倒的に落ちているのです。

それでも「B細胞」の安定した働きにより、宇宙船の中に潜むバクテリアやウイルスに対しては、地球上で処置するのと同じような方法で撃退できます。これまで宇宙飛行士たちの健康を維持するためには、特殊な薬剤やサプリメントなどの方法が提示されてきましたが、その前に人体の内に備わっている自然な防衛機能に目を向ける必要があるのです。

 

これはもはや宇宙飛行士だけが気にすべき問題ではありません。宇宙開発が進む現在、一般の私たちも宇宙旅行や火星移住のため地球外に進出することもありうるのです。最近では、ISS内でバクテリアが発見されたというニュースもあるため、「B細胞」が宇宙空間における救世主となる日はそう遠くないでしょう。

 

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via: sciencealert , nasa.gov / translated & text by くらのすけ

 

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