psychology

健全な「自己愛」と「ナルシシズム性人格障害」はどこが違うのか?

2021.01.27 Wednesday

2018.12.14 Friday

Point
・鏡で容姿をチェックしたり、自慢話をする人は、健全なナルシストでポジティヴな自己愛を示す
・異常な自己愛は「ナルシシズム性人格障害」と呼ばれ、自分の思考や行動に固執し、他人に悪影響を与える

「ナルシスト」という言葉は、日常の中でもよく使用され、何か悪いイメージを抱かれがちです。しかし、性格特性としての正常な「ナルシスト」と、人格性障害としての異常な「ナルシスト」では意味が大きく異なります。

「ナルシスト」の語源は、ギリシア神話に登場するナルキッソスという美少年が、彼が水面に写る自分の顔を見て恋に落ちたことから来ています。一見おかしなこの行動ですが、これは健全な自己愛といえます。なぜでしょうか?

ナルキッソスのように、自分の容姿を逐一鏡でチェックするのは、健全なナルシシズムの証拠。他人に自分自身について多くを語り、自慢したりすることは、まったく病的な行動ではありません。むしろそれは、自尊心をポジティヴに保っておくために必要不可欠なことなのです。

一方で、人格性障害としてのナルシシズムは、自らの取る思考や行動に固執して、他人とのコミュニケーションや衝動的振る舞いの抑制に不適切な行動パターンを見せます。彼らの行動特性の起源は、幼年時代や10代にまでさかのぼります。決して一時的な精神問題ではないのです。

ナルシシズム性人格障害が示す主な行動パターンは、次のようなものが挙げられます。

・大げさな自己主張

・成功や権力欲への絶え間ない空想

・同じ異常な自己愛を示す人だけが、彼らの行動を理解できる

・実は自尊心がもろく、定期的な称賛を求める

・自分を特別視し、自らの願望は他人が充足してくれることを期待する

・望むものを手に入れるためには平気で他人を搾取する

・共感能力に欠けている

・他者の羨望の的になりたがる

・横柄な態度を絶えず取る

これらの項目の内、5つ以上に当てはまる人は「ナルシシズム性人格障害(narcissistic personality disorder [NPD])」の可能性があります。

健全な自己愛が自分自身のポジティヴさにつながるのとは対照的に、「ナルシシズム性人格障害」は、他人に悪影響を与えてしまいます。

彼らは、他人の感情に関心を向けることがほとんどなく、どういう振る舞いが他人を傷つけるのか理解していません。他人の置かれている状況や立場に立つことができないために、相手の気持ちを汲み取ることができないのです。

「ナルシシズム性人格障害」の人でも、自らの欠点に気づくことはあります。しかし、彼らはそれを治す必要はないと感じており、その代わりに他人が自分の欠点に合わせて行動するべきだと考えているのです。

恐らく、あなたの周囲にいる多くの「ナルシスト」は、健全でポジティヴな人たちでしょう。自信家やクールを装ったを人たちを、ナルシストだと言うこともできますが、それは裏を返せば、装うことで自分自身の限界を認め、自己の強みと弱みを知ることにつながっています。そして他人に共感を抱き、人は失敗から人生を学ぶことができると理解しているのです。

健全な自己愛を示す人は、ときにNPDと同じ振る舞いをして、他人を傷つけることもありますが、それでも彼らは自分が犯した過ちを直ちに後悔し、他者との関係を修復しようとします。一方、「ナルシシズム性人格障害」に陥った人々は、とかく他人の行動を、自分の都合の良いように変えようと望みます。それは裏を返せば、「自分への自信の無さ」から来ているのです。

「ナルシシズム性人格障害」は自分の誤った行動に対して反省をすることもなく、他者との協調関係にも無関心です。そしてこの「ナルシシズム性人格障害」は、異常心理を持つサイコパスが示す特性のひとつでもあるのです。もし、あなたの周りに上記のようなナルシシズム行動を取る人がいれば、注意が必要でしょう。

「恋人がサイコパス」だった時の見分け方とは

via: psychcentral / translated & text by くらのすけ

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