自閉症傾向の男性は「見た目より行動」で相手を判断する

psychology 2018/12/17
Photo credit: ariellie calderonie on Foter.com / CC BY
Point
・人は、相手の顔から信頼できるかどうかを自動的に判断しているが、その判断は正確とは言えない
・健常男性を対象とした実験では、自閉症傾向の高低に関わらず、相手の第一印象がもたらす信頼度は同じであった
・しかし、自閉症傾向の高い男性は、見た目の信頼度を実際の判断材料に使わず、相手の行動に基づいて判断していた

「人は見た目が9割」という言葉が流行ったように、私たちが第一印象で人物を評価する時、多くの場合は相手の見た目で判断します。相手の信頼を量ることは、社会的・経済的な決断に影響を及ぼすこともあり、重要な技量の一つです。

しかし、西オーストラリア大学のジャスミン・フーパーらの研究によると、顔の見た目による信頼度というものは、行動の信頼性の正確な指標にはなりません。そのため、見た目による判断に影響されることのない人は、その分有利となるのです。それに当てはまるのが、自閉症の傾向が高い人であるということがわかりました。研究は11月13日付で、British Journal of Psychologyに掲載されています。

Should I trust you? Autistic traits predict reduced appearance‐based trust decisions
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bjop.12357

「細部にこだわる」といった自閉症的な特徴を持つことが、第一印象を判断材料とするかどうかに影響しているのかを調べるため、研究者たちは健常な男性46人を対象に実験を行いました。被験者には自閉症スペクトラム指数のテストと、第一印象による信頼度の測定をしてもらい、結果を比較しました。予想通り、見た目により即座に決めてもらった信頼度は、自閉症スペクトラム指数の大小に関わらず同じでした。

Credit: Hooper et al.

続いて被験者には、大人向けの経済信頼ゲームにチャレンジしてもらいました。協力相手は仮想のもので、見た目と実際の行動における信頼度は無関係となっています。協力相手の行動は一貫しており、公平に振る舞うかあるいは自己中心的に振る舞うかでした。そのため、ゲームに勝つには見た目を無視して相手の行動から、協力するかどうかを決めなければなりません。

その結果は予想通りで、自閉症指数の低い人は協力相手の見た目に影響を受けており、逆に自閉症指数が高い人は、見た目の影響を受けてもその程度は有意に低いものとなっていました。彼らは見た目よりも、実際の相手の行動から影響を受けていたのです。

 

人は見た目ではないといいますが、科学的にも見た目と信頼度は一致しないことが示されています。それでも悲しいことに、誰の目からも信頼できる人と、できない人がいるというのは事実のようです。しかし、自閉症の人やその傾向を持つ人は、そういった本能的な判断に騙されることなく、相手の実際の行動を元に信頼できるか否かを判断することが示されました。自閉症はハンディキャップでもあるのですが、その反面の強みも持っているのです。

 

氷河時代の写実的アートは「自閉症」の祖先によって発展した

 

via: The British Psychological Society Research Digest/ translated & text by SENPAI

 

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