新説が覆される! 暗黒物質を大量に含む90億年前の銀河を発見

space 2018/12/14
Credit: Patrick Drew (UT Austin)/STScI/ALMA
Point
・最近「100億年前の銀河に暗黒物質が少なかった」という発見があり、過去の宇宙には暗黒物質が少なかったのではないかという説が出てきている
・90億年前のスターバースト銀河に、暗黒物質が現在の銀河と同等に含まれるものが見つかる
・過去においても暗黒物質が大量にあった事になり、新たな説への反証となった

宇宙の大部分を占める光を放出しない暗黒物質ですが、宇宙の初期段階でも豊富に存在したのかどうかは、現在議論の分かれるところです。

新たに“The Astrophysical Journal”に掲載された論文では、暗黒物質が過去においても宇宙を占めていたという証拠が示されています。研究を行ったのはテキサス大学オースティン校の大学院生パトリック・ドリューです。

Evidence of a Flat Outer Rotation Curve in a Star-bursting Disk Galaxy at z = 1.6
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aaedbf/meta

暗黒物質は光と相互作用しないため、望遠鏡で見ることはできません。しかし重力によって通常物質に影響を及ぼすため、間接的にその存在を知ることができます。

暗黒物質が発見されたのは、1970年代のことです。回転する渦巻銀河の外縁部の星のスピードが、観測される通常物質の量から予測されるよりも、ずっと早かったことでその存在が発覚。存在する暗黒物質の量は、通常物質の5倍もあるといわれています。

その発見の過程からもわかるように、ほとんどの銀河は大量の暗黒物質を含んでいます。しかし最近になって、その例外となる「暗黒物質の少ない銀河」が見つかっているのです。こういった銀河はおよそ100億年前のものであったことから、宇宙の初期の銀河は暗黒物質を多く持たず、後になって増えたのではないかという説が出てきました。もしそうであったとすれば、暗黒物質が物質を引きつけることで銀河ができたとする、銀河形成説が覆されることになります。

しかし、今回ドリュー氏らによって発見されたのは、今までの説を支持する、豊富な暗黒物質を持った遠い昔の銀河です。90億光年の距離にあって、当時すでに大量の暗黒物質を持っていたことを示してくれています。

Photo on Foter.com

研究チームはハワイのケック望遠鏡を使って、最も急速に星を形成しているスターバースト銀河である「ダスティ星形成銀河」がなぜ大量の星を形成できるのかを調べていました。実は彼らは当初、暗黒物質を研究するつもりはなかったそうです。

しかしその中で予想外のものが出たため、研究の方針を変更。銀河DSF850.95のランダム角を調べることで、「回転曲線」を測りました。研究者たちはこの「回転曲線」から、暗黒物質の量を推測することができます。

チームはこのデータを、専門家である宇宙望遠鏡科学研究所のスーザン・カッシン氏に見てもらいました。すると、即座にこの銀河での発見が特別なものであることが分かりました。90億年前の銀河でありながら、理論が予測する通りの暗黒物質が含まれていたのです。

この発見は、2017年に“Nature”で発表された、100億年前の銀河は暗黒物質を多く含んでおらず、根本的に現在の銀河とは異なっていたとする説に対する反証となっています。つまり、過去の銀河の中にも現在の銀河と同じものがあったことが確認されたということです。

 

今回、宇宙は過去においても暗黒物質が大きな割合を占めていた可能性が出てきました。しかし、なぜ暗黒物質が多い銀河と少ない銀河があるのかはわかりませんが、形成過程が異なるのかもしれません。それにしても、暗黒物質はどこから来たのでしょうか。もともと宇宙に現在の暗黒物質のすべてが存在したのか、それとも暗黒物質は宇宙の進化とともに増えているのか…。今回の発見は、その謎を解く一つの鍵となるでしょう。

 

ついに暗黒物質の謎が解明!?失われた95%に迫る新しい理論が発表 「暗黒流体として生まれ続けている」

 

via: Phys.org/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE