一体どこからが宇宙なの? 地球と宇宙の「境目」論争が勃発!

space 2018/12/16

Point
・ヴァージン・ギャラクティック社が有人宇宙船「スペースシップ・ツー」の宇宙空間における試験飛行に成功
・しかしその高度がカーマン・ライン(高度100キロメートル)以下であったため、スペースシップ・ツーが「宇宙空間」を飛んだと言えるのかが議論となる
・ある天文物理学者がカーマン・ラインを「高度80キロメートル」に再定義すべきといった、説得力のある意見を提唱している

宇宙旅行ビジネスに挑戦するヴァージン・ギャラクティック社が、有人宇宙船「スペースシップ・ツー」の宇宙空間の試験飛行を成功させ、商用化に向けた大きな一歩を踏み出しました。

高度「82.7キロメートル」にまで届く高さでの飛行を続けたスペースシップ・ツーですが、そこには1つだけ問題がありました。それは、果たしてその高さは「宇宙空間」と呼べるのか?といった問題です。

そもそも、地球と宇宙の「境目」とはいったいどこにあるのでしょうか。そこには、国際航空連盟が定めた一応の境界が存在しています。カーマン・ライン」と呼ばれるその境界は「海抜高度100キロメートル」に引かれた仮想のラインであり、スペースシップ・ツーはその高さに達していなかった(82.7キロメートル)ために、これが議論を呼ぶきっかけとなりました。

Credit: virgingalactic

ハーバード大学の天体物理学者ジョナサン・マクドウェル氏は、昨年自らの論文において「カーマン・ラインの再定義」を提唱した人物です。彼は、「カーマン・ラインが『100』といった数字を用いているのは単に切りがいいからであり、そこに物理学的な正当性は何もありません」と語り、100キロメートルといった数字の適当さを指摘しています。

マクドウェル氏は、その再定義のために「2つのアプローチ」を試みています。彼はまず、過去60年間の9,000万にも及ぶ宇宙飛行の軌道データを調べ、円軌道と楕円軌道の両方における「最も低い高度」を探しました。その結果、円軌道においてはおよそ「120キロメートル」、楕円軌道においてはおよそ「80キロメートル」といった数字がそれらの「最も低い高度」としてはじき出されました。

さらにマクドウェル氏は、「人工衛星の状態」といった観点からもアプローチをかけています。人工衛星には「3つの状態」があります。当然ですが、それは「地球の大気圏に打ち上げられた状態」、「宇宙でキャノンボールのように高速で動いている状態」そして「その間の状態」です。そこで彼は、人工衛星がどの高度においてその状態を変えるか、すなわち「宇宙の軌道における力」が「空気力学的な力」を上回るポイントを計算したのです。その結果、そのポイントは「70-90キロメートル付近」に存在していることが分かりました。

そして、それらの理論を総合させてマクドウェル氏が出した結論は、「カーマン・ラインは高度100キロメートルよりも80キロメートルが妥当である」といったものです。

マクドウェル氏の主張により定義の変更が行われたわけではありませんが、彼の主張は一定の説得力を持つものであり、その定義によれば高度「82.7キロメートル」を飛行したスペースシップ・ツーは、見事「宇宙空間」を旅したことになります。

 

マクドウェル氏の功績により、文字通り宇宙がさらに「身近なもの」となる可能性があります。もちろん一度決まったものを変えることは容易ではありませんが、境界線を変えるだけで「宇宙旅行に行った」と言える人が増えるのであれば、その変更には賛成の意を示したいものです。

 

「冥王星はやっぱり惑星」だとする新しい説が浮上 「以前の惑星定義は誤りだった」

 

via: virgingalactic / translated & text by なかしー

 

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