重要なのは「カミングアウト」? 同性愛者の知人がいる人は同性婚を支持する傾向

society 2019/01/03
Point
■同性愛者の知人がいる人は、そうでない人よりも、同性婚を支持し、同性愛者を受容する傾向が強いことが判明
■他人との人間関係が芽生え始めると、「接触効果」によりその人物の所属集団に対してイメージが変わってくる
■特に、同性愛者と知り合う機会がない人が、ひょんなことから同性愛者の知人を持つことになった時に接触効果が顕著

人とのつながりは、私たちが思っている以上に大きい力を発揮するようです。誰かと結ばれた絆は、1人の人物の考え方に変化をもたらすだけでなく、社会そのものにまで影響するということに、改めて気づかせてくれる研究が行われました。

ペンシルベニア州立大学の社会学者ダニエル・デラポスタ氏らが行った調査で、少なくとも1人以上の同性愛者の知人がいる人は、そうでない人と比べて、同性婚を支持し、同性愛者を受容する傾向が強いことが明らかになりました。

Gay Acquaintanceship and Attitudes toward Homosexuality: A Conservative Test
https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/2378023118798959

特定の人間関係を築くことが諸問題に対する考え方に変化をもたらす「接触効果」については、これまでも多くの社会学者が議論を重ねてきました。ですが、その真偽を正確に特定する調査は行われてきませんでした。そこでデラポスタ氏らは、客観的データをもとに接触効果について調査したのです。

■カミングアウトが受容のキーに

2006年、2008年、2010年に実施された総合的社会調査 (General Social Survey, GSS) のデータを元に分析したのが本研究。総合的社会調査とは、アメリカ合衆国の居住者を対象として、人口統計学的特徴や社会的意識についてのデータを収集する目的で行われている社会学的調査のこと。無作為に抽出された18歳以上の成人を対象に直接面接方式で実施されます。

分析の結果、2006年には同性愛者の知人を持つ人の約45パーセントが同性婚を支持していたのに対し、2010年には約61パーセントが支持するように。また、2006年には同性愛者の知人がいない人の約22パーセントが同性婚を支持していたのに対し、2010年には約18パーセントに下がったことが分かりました。

これは、同性愛者の知人を持つ人は、相手と親しい時期が長くなるにつれて同性婚を支持するようになり、反対に同性愛者の知人がいない人は、同性婚をますます受け入れなくなる可能性を示しています。

この発見は、同性愛者が行う「カミングアウト」が、人々の受容に対し非常に重要だということを物語っています。1973年のGSSでは、「同性愛が過ちだとは全然思わない」と回答した人はわずか11パーセントでしたが、2016年には52パーセントの人がこれを支持するようになりました。

デラポスタ氏は、カミングアウトにより同性愛者との接触する機会がさらに増えることで、人々の同性愛者のコミュニティーに対する態度を変化させるのではないかと推測しています。

■親しくなると偏見が薄れる?

私たちは、スーパーや地下鉄などで他人の姿が目に入るというようなごく表面的な接触において、その人物の所属集団に対して持っているネガティブな偏見を補強する行動(相手の身なり、話し方、行動の仕方など)を選択し、これらのみに注意を向ける傾向があります。

ところが、相手との人間関係がひとたび芽生えて、道端で見かけると少し立ち話でもするような仲になると、接触効果が発動し始めます。それまでは赤の他人だった人と交流しなければならなくなった途端、人はもともと持っていたバイアス(偏った見方)の再検討を迫られるのです。

では、同性愛者の知人と仲良くなればなるほど、同性婚に賛成する気持ちがさらに強くなるかというと、そういうわけではありません。同性愛者と知り合う機会がなさそうな人が、思いがけないことから同性愛者の知人を持つことになった時に、接触効果は顕著に現れるようです。

 

この効果は、移民などほかの集団間関係にも置き換えられます。私たちは生きる過程で、自分とは異質な相手との出会いを通じて、その度にバイアスを再検討しつつ、さまざまな事柄に対する考え方や態度を絶えず修正し続けているのでしょう。人生に深い知恵と広い視野をもたらしてくれる人との絆を、大切にしたいですね。

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reference: news.psu.edu / written by まりえってぃ

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