原子力で生命を掘り起こす!?衛星エウロパ「穴掘り大作戦」とは

technology 2018/12/18
Credit: Alexander Pawlusik, LERCIP Internship Program NASA Glenn Research Center
Point
・木星を周回する衛星エウロパを覆う氷に原子力で穴を空けながら進み、その下の海に到達する「トンネルボット」の構想が提唱
・氷や、氷と海が接する界面、海水のサンプルを集め、微生物やその化石が存在する可能性を調べる
・エウロパの海にはかつてから生命が存在する可能性が示唆されてきた

NASAの木星探査機「ガリレオ」は、1995〜2003年の間に木星やそれを周回する衛星の観測を行いました。現在知られている木星の衛星79個のうち、2番目に大きい衛星が「エウロパ」です。分厚い氷に覆われた直径3,100キロメートルほどのこの衛星は、ギリシア神話の、ゼウスが恋に落ちたテュロスの王女エウロペーにちなんで、その名がつけられました。

■エウロパの中には生命体が?

探査機ガリレオの観測結果から、エウロパの固い氷層の下には液体の水が存在する可能性があるといわれてきました。また多くの研究者が、その冷たいシャーベット状の海の中に、微生物、もしくはその化石が存在するとも信じてきました。

肝心の問題は、「どうやってそこにたどり着いて、サンプルを採集すればいいのか?」ということです。氷層は2〜30キロメートルと分厚く、簡単に溶かせるようなものではありません。ですが、目的地に到達するには、どうしても突破しなければならないカベです。

 

衛星エウロパの探査に立ちはだかる、埋め尽くされた氷の柱「ペニテンテ」

■原子力で穴を開ける

そこで最近、イリノイ大学のアンドリュー・ドンバード氏らが提唱したのが、原子力で発動して氷に穴を空ける探査機です。生命や化石が存在する証拠を探すための装置を備えた原子力「トンネルボット」が、まるでモグラのように氷をぐんぐん掘り進みながら、海に到達します。

トンネルボットは、氷や、氷と海が接する界面の水、海水のサンプルを集め、各地点で生命が存在する可能性を調査するもの。さらに、氷層の中に点在する液体の水でできた「湖」も探すことができます。

Credit: NASA/JPL/University of Arizona / エウロパの表面を覆う氷は潮汐力によるエウロパ自体の歪みのために裂け目ができたり塞がったりを繰り返している

■穴を開ける方法とは

夢のような機能が満載のトンネルボットですが、一体どうやって動かすのでしょうか?それには2つの方法があります。1つは小型の原子炉を使う方法、もう1つは宇宙探査用に設計された汎用型熱源レンガを用いる方法です。

これらの熱源から生まれた熱が氷を溶かしながら、氷層を掘り進めます。通信は、光ファイバーでトンネルボットに接続された「リピータ」という中継機器を通じて行われます。

トンネルボットが実現化すれば、太陽系に関する数々の謎、とりわけ「地球外に生命は存在するのか?」という最大の謎を解くための重要なヒントが得られるかもしれません

エウロパの海の環境は、地球の南極にあるボストーク湖の環境に近いと推測されており、生命が存在する星の有力候補に挙がっています

■太陽光がなくても生命は存在する

かつて、生命は太陽からのエネルギーに完全に依存していると考えられていましたが、1970年代のガラパゴス海嶺の探索で貝類や甲殻類などの生物が、太陽光がまったく届かない場所に群生していることが発見されました。

それを契機に研究が進み、地球内部から噴出する水素や硫化水素などの化学物質の酸化エネルギーからエネルギーを得ることで生きる生命が存在することが発見されました。つまり、生命には必ずしも太陽は必要ではなく、水とエネルギーさえあれば良いことが明らかになったのです。

 

「穴掘り大作戦」が実際に計画されるかどうかはまだ明らかになっていませんが、もし計画が始動すれば、宇宙生物学に新たな道が開かれることでしょう。

 

 

 

referenced: news.psu.edu / written by まりえってぃ / edited by Nazology staff

 

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